2018 Fiscal Year Annual Research Report
解答過程解析を基盤とした数式処理連動型理数系eラーニングの運用モデルに関する研究
Project/Area Number |
18H01069
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 泰之 名古屋大学, 情報学研究科, 准教授 (70273208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 佳典 静岡大学, 情報学部, 教授 (00308701)
市川 裕子 東京工業高等専門学校, 一般教育科, 教授 (10290719)
吉冨 賢太郎 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 准教授 (10305609)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 理数系eラーニング / STACK |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,理数系分野でeラーニングを活用するにあたり,学習者がどのような誤答を経て正答に到達したのか,またどのような思考過程を経て正答に到達したのかの詳細な回答解析を基盤として,科目,分野,環境に応じた理数系eラーニングの運用モデルの構築と提案を目的としている。この目的の達成のために,初年度では,解答過程を解析するための方法論の確立を目指すとともに,インターネット上に分散している理数系eラーニング教材の調査,整理を行うことを計画していた。 初年度の主な研究成果は次のとおりである。 1. 解答過程を解析するための方法論の確立を目的として,まず,合成関数の微分の問題を題材にとり,誤答の分類と,それを自動化するための方法論の探求を行った。具体的には,数学eラーニングシステムSTACKを用いたオンラインテストに取り組んだ高専の学生の解答データの解析を行った。まず,解答結果一覧を精査することにより,合成関数f(g(x))の微分の解答の分類と解答数の調査を行った。予想どおり,f'(g(x))のタイプの誤答が最も多かったが,f(x), g(x)の種類(三角関数,多項式など)に応じて個別に分類を行ったところ,種類により特徴的な誤答も多く見られた。現在は,STACKのポテンシャル・レスポンス・ツリーの機能を活用して,汎用的な分類方法の確立を検討中である。 2. 理数系eラーニング教材の調査,整理の一貫として,国際会議ATCMでのハンズオン・ワークショップを利用して,STACKの東南アジア圏での利用調査を兼ねて,普及活動を行った。STACKは欧州を中心として活用されているが,日本では近年,活用が広がりつつあるものの,アジア圏まだまだ知名度は低いと言わざるを得ないという印象を持った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究計画である,解答過程を解析するための方法論の確立を目指すとともに,インターネット上に分散している理数系eラーニング教材の調査,整理を行うことについて,解答過程を解析するための方法論の確立に関しては,具体的な例での解析から汎用的な手法の確立に向けて検討中であり,STACKのポテンシャル・レスポンス・ツリーを活用した方法論について検討が進んでいる状況である。また,理数系eラーニング教材の調査,整理については,STACKの利用調査を行うことにより,最低限の着手を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題では,理数系分野でeラーニングを活用するにあたり,学習者がどのような誤答を経て正答に到達したのか,またどのような思考過程を経て正答に到達したのかの詳細な回答解析を基盤として,科目,分野,環境に応じた理数系eラーニングの運用モデルの構築と提案を目的としている。この目的の達成のために,初年度では,解答過程を解析するための方法論の確立のために,数学オンラインテストの解答データから誤答分類を行うこと,インターネット上に分散している理数系eラーニング教材の調査,整理のためにアジア圏でのSTACKの利用調査を行った。 解答解析を行うにあたっては,現在取り組んでいる,ポテンシャル・レスポンス・ツリーの活用によるSTACKの解答の誤答分類の汎用的な方法論を完成させる予定である。STACKは数式入力型の数学オンラインテストであるが,より一般的な多肢選択式問題において,受験者がどのような誤答をたどり正答に至ったかの調査を開始する予定である。また,デジタルペンによる手書きノートを元にした学習データの解析にも着手する予定である。 一方,インターネット上に分散している理数系eラーニング教材の調査,整理のために,まずデータベースの作成とデータの収集を開始する予定である。同時に,オンラインテストにおいては,コンテンツの蓄積も行うことを検討している。
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Research Products
(6 results)