2019 Fiscal Year Annual Research Report
ナッジとしての“見つめる目”効果:仮想および実空間における社会実験
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18H01079
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
森 津太子 放送大学, 教養学部, 教授 (30340912)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 まさみ 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 教授 (00334566)
高比良 美詠子 立正大学, 心理学部, 教授 (80370097)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 社会的認知 / watching-eyes effect / 向社会的行動 / ナッジ / 社会実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は“見つめる目” 効果について、前年度から行っているメタ分析をさらに推し進めるとともに、この効果を仮想空間で検討するためのパイロット・スタディを実施すべく準備を行った。 前者については、“見つめる目”効果の研究で、これまで用いられてきた50種類の“目”刺激について、(1)快-不快、(2)驚き、(3)見つめていると感じられる程度の3つの次元で大学生約60名に主観評価をしてもらい、その平均値を説明変数、各研究の効果量を目的変数とするメタ回帰分析を行った。その結果、目的変数が向社会的行動の場合にのみ、より不快でなく、より驚き、より見つめられていると感じられない“目”刺激のほうが、“見つめる目”効果の効果量が大きくなることが示された。一方で反社会的行動の効果量を目的変数とした場合には、主観評価が統計的に有意な効果を持つことはなかった。この結果は、“見つめる目”効果が、反社会的行動においては、“目”刺激の種類によらず頑健に見られるという昨年度までのメタ分析の結果と合致するものである。 その後、メタ分析の知見をもとに、仮想空間(3次元空間)での実験のパイロット・スタディを実施すべく機材を揃えていたが、購入を予定していた視線追跡装置付きのVRゴーグルの日本での発売が遅れたために準備が後ろ倒しになり、年度終わりになって、ようやく実験室環境の整備が実現した。しかしながら、いよいよパイロット・スタディを開始する段になって、新型コロナウィルスの感染拡大により、大学内の実験室の利用や大学生を対象とした実験の実施が困難となり、仮想空間での実験は、データを収集するまでに至っていない。ただし上記の準備と並行して、PC画面を使った2次元空間での視線追跡装置を使った実験を一部、実施していたため、その結果とメタ分析の結果については国際学会にて成果を発表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
購入を予定していた視線追跡装置(アイトラッカー)付きのVRゴーグルの日本での発売が遅れ、実験室環境の準備が遅れたことに加え、パイロット・スタディを開始する段となって、新型コロナウィルスの感染が拡大し、大学内の実験室の利用や、大学生を対象とした研究が全面中止となってしまった。本来であれば当該年度内に完了予定であった仮想空間(3次元空間)での実験のパイロット・スタディがまったく実施できておらず、再開時期も未定のため、その影響が次年度以降にも及ぶと思われれる。
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Strategy for Future Research Activity |
実験研究再開の許可が下り次第、十分な安全対策をとったうえで、パイロット・スタディを開始し、その結果をもとに本実験へと移行したいと考えている。そのために、実験刺激の精査など、この間にできる範囲で万全な準備を整えておきたい。また昨年度までに完了している研究については、論文化を進めていく予定である。
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