2019 Fiscal Year Annual Research Report
親密関係での問題行動に関する前向き研究:暴力・ストーキングの連関とその動的リスク
Project/Area Number |
18H01080
|
Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
金政 祐司 追手門学院大学, 心理学部, 教授 (70388594)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 貴仁 科学警察研究所, 犯罪行動科学部, 室長 (20356215)
荒井 崇史 東北大学, 文学研究科, 准教授 (50626885)
相馬 敏彦 広島大学, 社会科学研究科, 准教授 (60412467)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | DV / DaV(デート暴力) / ストーキング / 夫婦関係 / 恋愛関係 / 縦断調査 / 愛着不安 / ダークトライアド |
Outline of Annual Research Achievements |
「親密関係での問題行動に関する前向き研究:暴力・ストーキングの連関とその動的リスク」への研究助成の2年目となる令和元年度は、恋愛関係内の暴力ならびに恋愛関係破綻後のストーキングに関する短期的ならびに長期的な予測因子(危険因子・防御因子)を特定することを目的として、若年層を対象に恋愛関係に関する縦断調査を実施した。現在恋人がいる10代から30代の者を対象として、2019年2月下旬から3月上旬に第1波の調査を行い、その後、3ヶ月おきに、第4波まで1年間にわたる縦断調査(第4波は、2020年03月上旬に調査終了)を行った。第1波から第4波まで全てに回答している回答者は、1990名であり、調査項目は、①デモグラフィック項目、②パーソナリティ特性、③関係満足度、④恋人以外の人たちとの関係性、⑤関係特性、⑥関係内暴力加害・被害、⑦本人の適応状態等であった。現在、データの整理を行っており、今年度、詳細なデータ分析を行っていく予定である。 また、昨年度は、それまでに実施していた2つの縦断調査(現在、恋人のいる若年層を対象にした縦断調査ならびに成人期前期ならびに中年期の既婚者を対象とした縦断調査)のデータに関して分析を行った。交差遅延効果モデルによる分析の結果、恋愛関係と夫婦関係の双方の関係において、パーソナリティ特性である愛着不安が、後の親密な関係内の暴力(IPV)の増大を予測していることが示された。この結果は、自己に対する自信のなさや他者から見捨てられることへの不安を感じやすさといった特徴を持つ愛着不安が、後のIPVを増大させることを示しており、さらに、その因果関係をも明確に示し得たものである。この研究結果については、現在、学会誌に投稿中であり、また、今年度心理学関連の学会でも発表を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度は、恋愛関係内の暴力ならびに恋愛関係破綻後のストーキングに関する短期的ならびに長期的な予測因子(危険因子・防御因子)を特定することを目的に、大規模の縦断調査を1年間にわたって実施した。これは当初に予定していたものであり、それが実現できていることから、現段階としては、研究の進捗状況は、おおむね順調に進展していると言える。ただし、上記の縦断調査は、第1波から第4波までの調査を実施していることから、第1波の時点での恋人と関係が継続している者と関係が破綻している者、また、途中離脱者等、データの整理に関して、かなりの時間を要するものとなっている。この点については、研究分担者と連携を取りながら、入念に分析を行っていく必要性がある。 また、これまでに実施していた2つの縦断調査(現在、恋人のいる若年層を対象にした縦断調査ならびに成人期前期ならびに中年期の既婚者を対象とした縦断調査)に関しても、おおよその分析を終え、その結果の一つについては、論文としてまとめて、現在、学会誌に投稿中である。この点についても、研究はおおむね予定通りに進んでいると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は、夫婦ペア縦断調査を新規に実施予定であったが、コロナウィルス感染症の影響から、新たに夫婦ペア縦断調査を実施した場合、データに歪みが生じてしまう可能性(たとえば、第1波の段階でDV等が通常よりも多く見受けられる等)がある。それゆえ、今年度は、これまでに実施してきた夫婦ペア調査の回答者を対象に再度継続して、データの収集を行っている(現在調査中である)。既に縦断調査を実施している回答者を対象とすることから、DV等に関するベースラインを押さえることができているため、今回のコロナウィルス感染症の影響(緊急事態宣言)によって(すなわち、ストレス状況下において)、DVが増大したのかについて検証することが可能となる。
|
Research Products
(4 results)