2021 Fiscal Year Annual Research Report
親密関係での問題行動に関する前向き研究:暴力・ストーキングの連関とその動的リスク
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18H01080
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
金政 祐司 追手門学院大学, 心理学部, 教授 (70388594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 貴仁 科学警察研究所, 犯罪行動科学部, 室長 (20356215)
荒井 崇史 東北大学, 文学研究科, 准教授 (50626885)
相馬 敏彦 広島大学, 人間社会科学研究科(社), 准教授 (60412467)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | DV / DaV(デート暴力) / ストーキング / 夫婦関係 / 恋愛関係 / 縦断調査 / 愛着不安 / ダークトライアド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究「親密関係での問題行動に関する前向き研究:暴力・ストーキングの連関とその動的リスク」は、夫婦関係や恋愛関係といった親密な関係における暴力(Intimate Partner Violence;IPV)ならびに親密な関係破綻後のストーキングに関する短期的ならびに長期的な予測因子(危険因子・防御因子)を特定することを目的としたものである。研究助成の4年目となる令和3年度は、本助成金で実施した研究を論文化したものが、「金政祐司・古村健太郎・浅野良輔・荒井崇史 (2021).愛着不安は親密な関係内の暴力の先行要因となり得るのか?―恋愛関係と夫婦関係の縦断調査から― 心理学研究, 92(3), 157-166.」として査読付きの国内雑誌に掲載された。恋人関係と夫婦関係についての2つの縦断調査を通して、それら双方の関係でパーソナリティ特性である愛着不安が、後のIPVの増大させることについて交差遅延効果モデルを用いて示したものである。 また、本助成金で実施した夫婦ペア調査の結果、愛着不安は、日常生活のネガティブ感情を介して、配偶者が報告する将来的なIPV被害を増大させること、ダークトライアドは、感情を介さず直接的にIPV被害を増大させていることが示された。この研究結果については、海外の査読付きジャーナルに投稿を行っており、現在、審査のやり取りを行っている状況である。 加えて、若年層の恋愛関係を対象とした縦断研究に関しても、日本心理学会第85回大会や日本社会心理学会第62回大会で発表を行い、さらに、その研究結果について英語での論文執筆を行っている。 また、恋人ペアのIPVに関する縦断調査を、第一回目の調査については2021年11月下旬に実施し、第二回目の調査については2022年2月下旬に実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度から継続しているCOVID-19の感染拡大により、私たちの生活スタイルが激変してしまい、COVID-19によって生活環境全般が変化した状況下での研究結果が平常時にまで一般化できるものなのかについては疑問符が付くことから、継続的な研究計画の変更を強いられた。その結果、当初計画していた恋愛関係でのIPVに関するペア縦断調査の実施を大幅に延期せざるを得なかった。 このことから、研究の進捗状況は、やや遅れていると言わざるを得ない。 当初は、COVID-19の感染拡大が収束した後に実施を考えていた恋愛関係でのIPVに関するペア縦断調査ではあるが、2021年度(令和3年度)の現状を鑑みると、COVID-19の感染拡大の収束次期が未だ見えてこないこと、また、COVID-19の感染拡大から1年以上が経過し、すでにCOVID-19禍が我々にとっての日常となっていることから、今年度の終盤に調査実施に踏み切った。このことから、研究の進捗状況は、少しずつ改善されてきている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、研究助成の最終年度となるため、これまで実施してきた研究について国内外の査読付きジャーナルに掲載できるように努めていく。特に、本助成金で実施した夫婦ペア調査からは、愛着不安は、日常生活のネガティブ感情を介して、配偶者が報告する将来的なIPV被害を増大させること、ダークトライアドは、感情を介さず直接的にIPV被害を増大させることが示されており、この研究結果を海外誌に論文掲載を目指していく。また、恋愛関係において、ダークトライアドが将来的なIPV加害の先行要因になることについて交差遅延効果モデルを用いて示した研究についても、現在、現在執筆中であり、海外誌に投稿する予定です。また、現在実施している恋愛関係でのIPVに関するペア縦断調査についても入念に分析を実施した後、国内外の学会等で発表を行っていく。
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