2021 Fiscal Year Annual Research Report
胎児期に原発事故を経験した福島の子どもたちの小学校への適応についての発達的研究
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18H01082
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
氏家 達夫 放送大学, 愛知学習センター, 特任教授 (00168684)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 大幸 お茶の水女子大学, 基幹研究院人間科学系, 准教授 (80611433)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 実行機能 / 言語機能 / 学年差 / 震災の影響 |
Outline of Annual Research Achievements |
2011年度生まれ群52名、2012年度生まれ群47名、合計99名を対象に、実行機能と言語機能の測定を行った。実行機能は、ワーキングメモリ(WISC-Ⅳの数唱課題)、ストループ効果(ストループ課題)、行動の抑制(go-nogo課題)、課題の切り替え(DCCS)を調べた。言語機能は、WISC-Ⅳの単語課題と類似課題を用いて調べた。 実行機能や言語機能に対する震災の影響を調べるため、各課題得点について、学年差、震災時居住地の汚染量(文科省の第1次~第3次までの航空機モニタリングの結果にもとづき、1.0E+04未満を0(他県の大部分)、5.0E+04未満を1(会津地域や耶摩地域の大部分)、1.0E+05未満を2(いわき、郡山、白河、須賀川の大部分)、避難対象地域を除いた1.0E+05以上を3(新地と南相馬の一部を除く相馬地区、中通り北部、田村の大部分)、避難対象地域を4として、各課題得点との相関を算出)、震災時居住地の津波の被害と避難の有無との関連を調べた。 分析の結果、言語機能の2課題は2012年度生まれ群>2011年度生まれ群であった。実行機能の抑制は2012年度生まれ群<2011年度生まれ群であった。その他の実行機能課題について学年差は認められなかった。いずれの課題も、汚染量との有意な相関はなく、避難の影響も認められなかった。単語課題は、津波被害ありがなしの子どもより標準得点が低かった。 本研究の結果、実行機能に対する震災の影響は示す証拠は得られなかった。言語機能について学年差が認められたことから、2011年度に生まれた子どもに震災の影響が認められたが、放射線量や避難との関連はなく、その理由を明らかにするに至らなかった。津波被害を受けた地域に生まれた子どもの言語機能が両年齢群ともに低かったことから、津波による親の心傷経験が影響している可能性が考えられる。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)