2018 Fiscal Year Annual Research Report
ギャンブル・薬物依存への脆弱性とストレスレジリエンス:動物モデルを用いた検討
Project/Area Number |
18H01097
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山田 一夫 筑波大学, 人間系, 准教授 (30282312)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一谷 幸男 筑波大学, 人間系, 教授 (80176289)
小澤 貴明 筑波大学, 人間系, 特任助教 (90625352)
椙田 麻菜美 筑波大学, 人間系, 客員研究員 (70776765)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ラット / ギャンブル嗜好性 / 薬物依存 / 個体差 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,個人の持つストレスからの回復力,すなわちストレスレジリエンスと,ギャンブル嗜好性および薬物依存への脆弱性の関係について明らかにすることである。プロジェクト初年度である本年度は,Long-Evans系雄ラットを用いて,放射状迷路課題を用いたラットギャンブリング課題(rGT)と,薬物依存に対する脆弱性を評価するためのメタンフェタミン(METH)による条件性場所選好(CPP)を同一個体で実施し,ギャンブル嗜好性の個体差の検出およびギャンブル嗜好性と薬物依存への脆弱性の関係を検討した。rGTでは,ペレットを報酬,キニーネでコーティングされたペレットを罰として,High risk-High reward(H-H)アームとLow risk-Low reward(L-L)アームを設定し,ラットのギャンブル嗜好性を各アームへの進入回数から評価した。H-Hアームでは1日16試行のうち2試行で6個の報酬が得られたが,残りの14試行では罰が与えられた。一方,L-Lアームでは16試行の内14試行で1個の報酬が得られたが,残りの2試行で罰が与えられた。CPPでは,黒・灰色・白の3 つのコンパートメントで構成された装置を用いて,装置順化,ベースレベル測定,条件づけ,条件づけテスト,消去,消去テストおよび再燃テストを行わった。その結果,ギャンブル嗜好性には明確な個体差があることが示され,さらにrGTでのH-Hアームの選択率と,CPPでのMETHと対提示された部屋への選好率の間に有意な正の相関がみられたことから,ギャンブル嗜好性が高い個体ほど依存薬物に対して脆弱であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究費が申請額よりも大幅に減額されたため,予定していた自動型T字迷路が購入できなかったが,既存の放射状迷路を用いてギャンブル課題を設定し,当初の目的であったギャンブル嗜好性の個体差と薬物依存への脆弱性との関係については明らかにできた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は申請時の研究計画通り,まず新生仔期母仔分離がギャンブル嗜好性への影響を検討する予定である。また今年度購入を断念した自動型T字迷路の代わりに,今後購入予定であったオプトジェネティックス実験の装置を前倒しで購入したので,オプトジェネティックス実験の準備を進めていく。具体的には,近年,薬物依存との関連が指摘されている背外側被蓋野を中心とした脳部位をオプトジェネティックスによって操作し,ギャンブル課題中の意思決定段階における各脳部位の役割について検討できるように準備を進める。
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Research Products
(13 results)