2019 Fiscal Year Annual Research Report
ギャンブル・薬物依存への脆弱性とストレスレジリエンス:動物モデルを用いた検討
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18H01097
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山田 一夫 筑波大学, 人間系, 教授 (30282312)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
椙田 麻菜美 筑波大学, 人間系, 客員研究員 (70776765)
一谷 幸男 筑波大学, 人間系, 教授 (80176289)
小澤 貴明 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教 (90625352)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ギャンブル嗜好性 / オペラント行動 / 背外側被蓋野 / 個体差 / ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,光遺伝学的手法を用いて脳の活動を操作し,秒単位での意思決定段階における脳部位の関与を検討するために,昨年度用いた放射状迷路課題から変更して,オペラント行動を用いたギャンブル課題を確立することを目指した。Long-Evans系雄ラットを2つの伸展可能なレバーをもつオペラント箱に入れ,レバー押し行動を訓練した。各レバーは個体ごとにLow risk-Low reward (L-L)とHigh risk-High reward (H-H)に設定され,L-L選択では87.5%の確率で45㎎ペレットを1つ得られ,H-H選択では12.5%の確率でペレットが4個得られるようにした。装置馴化を1日,シェイピングを2日間,レバー押し訓練を6日間程度(2日間連続で30分以内に各レバー反応が20を超えるまで)行い,その後にギャンブル課題を実施したところ,H-Hレバーを好んで押す個体,L-L試行を好んで押す個体,およびどちらか一方のレバーに固執して押す個体に分かれ,個体差が大きいことが明らかになった。さらにラットでのオプトジェネティックスの手続きを確立するために,両側の背外側被蓋野にアデノ随伴ウィルスを投与した後に光ファイバーにより光刺激を与えたところ,光刺激を与えたレバーに対する反応回数が減少することが明らかになった。これは先行研究と一致した結果であり,今後この手続きを用いることによって,ギャンブル課題でのレバー押し行動の前,選択時,そして試行間間隔の3つのタイミングのいずれかで背外側被蓋野の活動を抑制し,ギャンブル行動への影響を検討できるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は新たに,オペラント箱を用いたギャンブル課題の確立を目指したが,ラットの個体差が予想より大きく,実験パラメータの設定に時間を要してしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,オプトジェネティックスを用いた背側被蓋野の操作によって,ギャンブル嗜好性がどのような影響を受けるのかについて検討を進める。またこれまでの結果から,オペラント行動を用いたギャンブル課題においても個体差が大きいことが明らかになったので,薬物依存への脆弱性やストレスレジリエンスとの関連を検討する。 被験体としてLong-Evans系雄ラットを(n=100)用いる。ギャンブル課題は,2つの伸展可能なレバーをもつオペラント箱を使用する。各レバーは個体ごとにsmall/certainとlarge/riskyと設定し,それぞれのレバーを押すことで得られる報酬の量や確率が異なるようにする。small/certain選択は100%の確率で45㎎ペレットを1つ得られ,large/risky選択は,選択前の2つの音刺激に応じて,12.5%か50%の確率でペレットが4個得られるようにする。装置馴化を1日,シェイピングを2日間,レバー押し訓練を6日間程度(2日間連続で30分以内に各レバー反応が20を超える)行い,その後ギャンブル課題においては,各レバーに対する強制選択を8試行ずつ実施し,その後自由選択を32試行実施する。背外側被蓋野の操作においては,両側の背外側被蓋野にAAVを投与した後,光照射用装置から延びる光ファイバーを刺入し,レバー押し行動の前,選択時,そして試行間間隔の3つのタイミングのいずれかで560nmの光を5秒間照射する。 また薬物依存への脆弱性との関連を検討するために,ギャンブル課題実験終了後,メタンフェタミン誘発性の条件性場所選好を行う。さらにストレスレジリエンスとの関連を検討するために,最後に恐怖条件づけおよびその消去過程を観察する。
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Research Products
(5 results)