2018 Fiscal Year Annual Research Report
前庭機能の成熟に伴う視覚誘導性自己運動感覚(ベクション)の発達過程の解明
Project/Area Number |
18H01100
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
白井 述 新潟大学, 人文社会科学系, 研究教授 (50554367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
棚橋 重仁 新潟大学, 自然科学系, 助教 (00547292)
伊村 知子 日本女子大学, 人間社会学部, 准教授 (00552423)
高橋 邦行 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (40452057)
妹尾 武治 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (40546181)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 発達 / ベクション / 前提機能 / 非視覚情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画の主たる目的は、前庭入力に代表される非視覚性の情報が、視覚誘導性自己運動感覚(ベクション)の生起過程にどのような影響を与えうるのか、またそうした影響は、発達にともなってどのような変化を生じるのかを検討することである。 2018年度は、前庭機能の計測と、ベクションの生起に関する心理物理実験の、双方を組み合わせた実験環境の構築を、予備的な検討を随時行いながら進めていった。そうした作業と並行して、前庭感覚や、体性感覚、身体性に関わる高次の認知的要因などがベクションの生起に及ぼす影響について、小学生の子どもや成人を対象とした実験を複数実施した。その結果、重力軸と身体軸が一致・不一致な状況下でベクションをそれぞれ測定すると、前者の状況では後者の状況よりもベクションが生じやすいこと、そうした傾向は成人と小学生の子どもで類似していること、その一方で、重力軸と身体軸の一致・不一致にかかわらず、ベクションの生じやすさや主観的な強さについては、成人よりも子どもで大きくなることが示された。また、ベクションを誘発する視覚刺激によって喚起される運動印象の違い(物体や環境の運動 vs. 観察者自身の運動)が成人におけるベクションの生起しやすさや強度に影響すること、類似の効果が状況によっては小学生の子どもにも確認されること、さらにそうした影響とは独立して、子どもでは成人よりもベクションが生じやすく、また主観的強度も強い傾向があることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前庭機能の計測とベクションの心理物理実験を組み合わせた実験については、当初計画では2018年度内に予備実験を完了し、本実験を開始する予定であったが、実験環境を構築し、若干名の参加者を対象とした予備的検討を実施するにとどまった。その一方で、前庭感覚とそれ以外の非視覚性情報の複合的な作用がベクションに及ぼす影響について、成人と子どもを対象として実施した複数の実験計画は、当初の想定を超える進展があった。 こうした状況を総合的に勘案して、計画全体としては順調な進捗状況にあるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、前庭機能の計測とベクションの心理物理実験を組み合わせた実験について、年度前半にも本実験を開始する予定である。また、それと並行して、その他の実験計画についても、これまでに得られた成果を学会などで報告し、そのフィードバックなどを参考にして追加実験の必要を検討しつつ、実験を継続していく予定である。
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Research Products
(12 results)