2020 Fiscal Year Annual Research Report
Fish brain and spatial cognition: neural basis of large scale migration
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18H01104
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
渡辺 茂 慶應義塾大学, 文学部(三田), 名誉教授 (30051907)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 空間認知 / 脳損傷 / 魚類 / ウナギ / 外套 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は大規模回遊を行うウナギの空間認知の脳内機構を明らかにすることを目的とする。まず、モリス型迷路と機能的に等価なウナギ用迷路を開発し、空間位置学習実験を行った。ついで、迷路外手がかりと迷路内手がかりがある状態で訓練を行い、弁別刺激の選択を明らかにした。本年度はウナギ空間学習の脳内機構を明らかにするため脳損傷実験を行った。大脳損傷を行うと、学習していた空間記憶は失われ、また再学習も障害された。一方偽損傷群では空間学習の障害は全く見られなかった。大脳損傷の部位特異性を明らかにするために、大脳外側部と内側部を独立変数とし、学習の3つの指標を従属変数とする線形モデルによる分析を行った。その結果、大脳外套の内側部と外側部で機能が異なることを突き止めた。宮崎実験池でも視覚剥奪、嗅覚剥奪による野外行動の変化を解析した。野外研究としては黄ウナギ(滞在型)と銀ウナギ(降河型)の脳外部形態の比較を行い、主成分分析(PCA)の結果、両者が異なるクラスターを作ることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
大脳損傷に至るまで2年以上かかると予想していたが、本年度で一応の成果を得ることができた。また、黄ウナギ(滞在型)と銀ウナギ(降河型)の脳外部形態が異なることも明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは主に視覚に基づく空間行動を研究してきたが、水流知覚に基づく空間学習のための実験系を確立し、可能であればその脳内機構を分析する。
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