2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18H01107
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 紀行 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (00553629)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | p進群 / 法p表現 / 既約表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画の目的はp進群の法p表現論を調べ,法p局所Langlands対応への貢献を行うことである.一般に表現論においては,調べたい表現の部分群への制限が強力な手法となることがある.この際に良い部分群を選ぶ必要があるが,p進群の表現論においてよく使われる部分群の一つがコンパクト開部分群であり,法p表現においても,私を含むこれまでの研究において幾度となく使われてきた. そのコンパクト開部分群としてスペシャルパラホリック部分群をとろう.これは有限体上の簡約群の有理点からなる群を商に持つが,法p表現の特殊事情として,もともとのコンパクト開部分群の既約表現は常にこの商を経由する.すなわち,スペシャルパラホリック部分群の既約表現は全て有限体上の簡約群の有理点のなす群の既約表現から来る.さらに今一度法p表現であることを使うと,群が適当な条件を満たせば,この表現は代数群としての代数的な表現から来る.従って,このような代数群の代数的な既約表現の理解はp進群の法p表現に有用であると期待できる. このような代数的な表現の理論は長い歴史を持つが,近年さらなる発展を見せている.その中で,表現論のうち組み合わせ論的な部分はHecke圏と呼ばれる対象により支配されることがわかってきた.昨年度私はこのHecke圏の新しい実現を,Soergel両側加群と呼ばれるものを使い与えた.今年度は,この特異版についての考察を行った.必要な定義と満たす性質を持つことを示すことはできたが,論文としてまとめることはできず,次年度の課題として残った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究が当初と違う方向に発展しつつあるが,昨年度Soergel両側加群を調べたが,その次の段階としてその特異版を考えるのは自然である.その特異版もほぼ確立できたと思われるので,このように判断をした.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度から,当初の計画とはやや異なる方向へと研究が進んでいる.来年度も,この方向性で行うことを考えている.まずは今年度完結させられなかったSoergel両側加群の特異版について,論文としてまとめることを行う.また,これらの新たなHecke圏の構成を使い,Hecke圏のKoszul双対性を考察する.何らかの形でのSoergel両側加群間のKoszul双対性が得られる.
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