2019 Fiscal Year Annual Research Report
Moduli of coherent sheaves and complexes
Project/Area Number |
18H01113
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
吉岡 康太 神戸大学, 理学研究科, 教授 (40274047)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | モジュライ / 安定層 |
Outline of Annual Research Achievements |
K3曲面上の安定層のモジュライについて、ピカール数が1の場合にBrill-Noether軌跡に関する研究を継続した。とくにwall crossingに現れる、ある種の負の階数の安定複体のモジュライ空間を調べた。その応用として、階数が低い場合のtotally semistable wallを分類するのに、これまで使っていた議論を簡略化した。このほか関連する研究として、exceptionalベクトル束で定義されるフーリエ向井変換について、安定性の保存とwallの関係について、いくつかの例を調べた。 ピカール数1のアーベル曲面上で第一コホモロジーが消える安定ベクトル束すなわち安定なACM束が存在するための条件を向井ベクトルで記述した。 これらの研究については、国際研究集会で研究発表を行った。 アーベル曲面上の導来圏は圏同値を与えるフーリエ向井変換の他に、アーベル曲面のisogenyによる引き戻し、直像などのendofunctorsがある。これらのendofunctorsは核が半等質層の族で与えられる積分関手である。これらの積分関手の合成で与えられるendofunctor(特に自己同値関手)の圏論的エントロピーをWeylのequidistribution theoremを使って計算し、またその特殊値とスペクトル半径に関する菊田-高橋の予想を確かめた。この結果はいくつかの修正のを経て、学術誌に受理された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ピカール数が1のK3曲面上の安定層のモジュライ空間のBrill-Noether軌跡についての結果について、共同研究者が論文の執筆を担当することになっているのだが、多忙であり、 また得られた複数の結果の整理に手間取り、遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
Brill-Noether軌跡に関する結果は今年度中に論文としてまとめることを目標とする。
|