2020 Fiscal Year Annual Research Report
Moduli of coherent sheaves and complexes
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18H01113
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
吉岡 康太 神戸大学, 理学研究科, 教授 (40274047)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 安定層 / Brill-Noether / K3曲面 |
Outline of Annual Research Achievements |
ピカール数が1のK3曲面上の安定層のモジュライ空間に対し、weak Brill-Noether軌跡を研究した。これはイリノイ大学シカゴ校のCoskun、Nuerとの共同研究である。方法はBridgelandの安定性条件の空間のwall/chamber構造を利用するもので、一般的な結果と階数20以下の具体的な計算結果に分かれる。本年度は膨大な具体的計算結果をまとめあげ、プレプリントを完成させることを目標としたが、この部分にかなりの労力を費やした。最終的にはこれらを1枚の表と一般的な結果にまとめあげることができ、完成させたプレプリントはarxivに公開した。Bridgelandは楕円曲面上の安定層のモジュライ空間を楕円ファイバー構造に付随したフーリエ向井変換を構成することにより研究した。特に階数と第一チャーン類に関係するある種の条件のもと、安定層のモジュライ空間が(別の)楕円曲面のヒルベルトスキームと双有理同値であることを示した。実はBridgelandの議論では楕円ファイバー構造のすべてのファイバーの既約性が必要であったが、この仮定を取り除くことに成功した。ピカール数1のアーベル曲面上の安定層について、generic Brill-Noether軌跡を調べ、算術的Cohen-Macaulayベクトル束(aCMベクトル束)の存在条件をチャーン類の言葉で記述した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Brill-Noether軌跡に関する結果をコンパクトにまとめることができたことと、楕円曲面上の安定層のモジュライ空間について、ファイバーに関する条件を取り除くことができたことから。
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Strategy for Future Research Activity |
楕円曲面上の安定層のモジュライ空間について、双有理幾何学的性質を調べる。
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