2018 Fiscal Year Annual Research Report
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18H01118
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山口 孝男 京都大学, 理学研究科, 教授 (00182444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本多 正平 東北大学, 理学研究科, 准教授 (60574738)
塩谷 隆 東北大学, 理学研究科, 教授 (90235507)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 崩壊理論 / 境界つきリーマン多様体 / CAT(1)空間 / アレクサンドロフ空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
境界つきリーマン多様体で、断面曲率が下に、境界の第2基本形式が一様に有界であるような無限列のグロモフ・ハウスドルフ収束や崩壊について研究し、特にその極限空間の幾何学をほぼ決定することができた(Z.Zhang氏との共同研究)。これは昨年度までに得ていた内半径崩壊する場合の結果の拡張を与えるものである。極限空間の特異点集合の次元の可能性も決定した。境界つき多様体のダブルの単体的体積がノンゼロであるが崩壊に対する障害となることを証明した。ここでは直径に関するバウンドも不要で、多様体の断面曲率ではなくリッチ曲率の下からのバウンドのみで十分であることも判明した。また「無限小の意味でのアレクサンドロフ空間」なる概念を自然に着想するに至った。極限空間の構造を完結させるために、今後は極限空間が「無限小の意味でアレクサンドロフ空間」になることを証明したい。来年度に論文を完成させる予定である。 ・CAT(1)空間の局所構造について、昨年度までの永野幸一氏との共同研究を発展させて、次が判明した(塩谷隆氏も交えた共同研究):①2次元CAT(1)空間が局所的には有限個のCAT(1)リプシッツ円板の貼り合わせとして表現される ②特異点集合はこれらのリプシッツ円板の交わりから得られる局所有限なリプシッツ曲線であること ③これらの特異リプシッツ曲線は局所有限なturn(測地的曲率に相当)をもつ ④逆にこれらにより2次元CAT(1)空間が特徴づけられる ⑤2次元CAT(1)空間がホモトピー型が同じ多面体構造をもつ2次元CAT(1)空間により近似される. ガウス・ボンネ定理も考察した。 ・崩壊する境界をもつ3次元アレクサンドロフ空間の位相を決定した(三石史人氏とも共同研究)。この過程で、1次元以下の空間に崩壊する境界つき3次元アレクサンドロフ空間は、実際には非負曲率をもつことが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの研究で、境界つきリーマン多様体の極限空間の構造がほとんど解明できた。また2次元CAT(1)空間については、局所構造の決定、多面体構造をもつCAT(1)空間による近似とホモトピー同値の構成を成し遂げることができた。崩壊する境界をもつ3次元アレクサンドロフ空間の位相も完全に決定することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
・境界つきリーマン多様体の極限空間の構造を完結させるために、極限空間が「無限小の意味でアレクサンドロフ空間」になることを証明したい。来年度に論文を完成させる予定である。 ・2次元CAT(1)空間に対してガウス・ボンネ定理を確立して、2次元CAT(1)空間の一連の結果を論文にまとめる予定である。 ・崩壊する境界つき3次元アレクサンドロフ空間の位相の決定に関して論文を仕上げる。 ・崩壊する閉多様体を代数的トポロジーの言葉で特徴づけたい。 ・アレクサンドロフ空間の極集合という特異点集合と全空間との関係を明確にする。
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Research Products
(13 results)