2021 Fiscal Year Annual Research Report
Research on global analysis and concentration energy for nonlinear dispersive equations
Project/Area Number |
18H01129
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高岡 秀夫 神戸大学, 理学研究科, 教授 (10322794)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 分散型方程式 / 非線形 / 初期値問題 / 適切性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,KdV 方程式の基本解を与える線形作用素に対するストリッカーツ評価式について,その臨界性と双線形形式の評価式への拡張を研究した.ストリッカーツ評価式は解の時空可積分性を表し,全空間において無限遠点で減衰する初期値に対しては,一般に解の時間減衰評価が成り立ち,そこから時間と空間において大域的なストリッカーツ評価式が導かれる.一方,有限領域におけるストリッカーツ評価式については,全空間のような時間減衰効果が期待されず,同等な評価式が必ずしも成り立たないことが知られていた.特に,空間変数に対して周期関数である場合,Bourgain によってルベーグ指数が 6 までのストリッカーツ評価式が考察されていたが,全空間の場合に実現されたストリッカーツ指数まで大きな隔たりがあった.そこで本年度は,周期関数の場合のストリッカーツ評価式が全空間の場合のルベーグ指数でも成り立つかどうか,反証の立場から研究し,ストリッカーツ評価が整合するルベーグ指数に制約があることを得た.また,双線形型のストリッカーツ評価式により平滑化効果を研究した.波数空間が異なる2つの初期値をKdV 方程式の基本解を与える線形作用素により時間発展させた場合,相互作用により解の平滑化が得られることが分かった.得られた双線形型の評価式を非線形評価に適用することによって,時間大域解に対するソボレフ増大評価式を得ることができた.ソボレフ増大評価式については既に知られていたが,今回は双線形評価式を用いることにより,より厳密な評価を与えることに成功した.論文は投稿中である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的に沿って,KdV方程式の線形解に対して双線形評価式を証明することができ,それを非線形問題に適用することができた.
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は空間1次元のモデルを扱ったが,この手法が多次元の問題へ汎用できるか,その解析も重要と思われる.例えば,多次元の場合の非線形シュレディンガー方程式など重要な方程式がある.このような研究の方向性も考えつつ,対面セミナーを開催し、関連する研究者と意見を交わしながら課題の解決を探る.
|