2020 Fiscal Year Annual Research Report
タウ函数の特異極限における新しいソリトン方程式系とその応用
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18H01130
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
太田 泰広 神戸大学, 理学研究科, 教授 (10213745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 泰彦 神戸大学, 理学研究科, 教授 (00202383)
野海 正俊 神戸大学, 理学研究科, 名誉教授 (80164672)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 函数方程式論 |
Outline of Annual Research Achievements |
自己適合移動格子スキームとは、特異性のある解を持つ可積分な非線形波動方程式に対して解構造を保つ離散化を行うことで得られた格子間隔が自動的に調節される構造保存型差分スキームである。非零境界条件や周期境界条件など一般的な境界条件での自己適合移動格子スキームについて考察した。一般的な境界条件での自己適合移動格子スキームを考える上での鍵はホドグラフ変換の積分表示の始点(境界点)とホドグラフ変換との整合性を考慮することにある。これによって、どのような境界条件下でも境界点を含むすべての格子点の動きを計算することが可能となった。自己適合移動格子スキームを用いた一般的な境界条件での数値計算例を示した。Liouville方程式は最も基本的な1+1次元非線形可積分発展方程式系の一つであり、長さが最小の戸田分子方程式から変数変換によって得られる。楕円型の場合には、Liouville方程式は二次元非圧縮完全流体の定常流を記述しており、可積分系の解が流体運動の厳密解を与える点で興味深い。Liouville方程式の正則解は非圧縮完全流体の二次元定常流を記述しているが、解が特異点をもつ場合には必ずしも定常流を表すとは限らない。渦度分布が特異点をもつ場合について解を構成する方法を定式化し、連続的な渦度分布と渦糸系が共存するような定常流の厳密解を構成した。Liouville方程式に対しては、任意関数を含む形で一般解の表示が知られている。非正則解が定常流を与えるための条件を、それらの任意関数に対して書き下すことにより、定常流を表す非正則解の構成が容易になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特異極限および関連するソリトン方程式系に対して、解空間の対称性に基づく理解が進んだから。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、タウ函数の特異極限における解空間の代数構造に関して、双線形形式と対称性に基づく研究を推進していく。
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Research Products
(1 results)