2018 Fiscal Year Annual Research Report
PT symmetry in open systems: theory and experiment
Project/Area Number |
18H01140
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小布施 秀明 北海道大学, 工学研究院, 助教 (50415121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 亮 京都大学, 工学研究科, 准教授 (10435951)
廣理 英基 京都大学, 化学研究所, 准教授 (00512469)
川上 則雄 京都大学, 理学研究科, 教授 (10169683)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | PT対称性 / 開放量子系 / 非エルミート性 / 量子ウォーク |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,パリティ(Parity)と時間反転対称性(Time-reversal symmetry)を組み合わせた対称性であるPT対称性は,非エルミートなハミルトニアンで記述される開放系の複雑なダイナミクスに統一的な理解を与えることから,現在世界中の研究者から注目を浴びている.PT対称性は,開放系の基礎的理解を深化させるだけではなく,開放系を制御する新たな指導原理にもなるため,応用上も極めて重要である. この観点から本年度は、開放量子系において高次トポロジカル数を有する非ユニタリ-時間発展を行う理論モデルとして3ステップ非ユニタリ-量子ウォークを構築し,そのトポロジカル相の相図等を理論的に調べた.さらに,吸収効果のある開放系における粒子の平均変位が,トポロジカル数と関係づけられることを用い,光子の吸収効果を取り入れた量子光学系における実証実験を行い,理論が正しいことを示した.さらに発展研究として,前述の系を拡張することによりPT対称性を明らかにした.また,非エルミート系におけるバルク-エッジ対応の検証として,高次トポロジカル数を有する系における複数のエッジ状態の数を波動関数振幅の振動特性から見分ける手法についての理論研究を行った. また,非エルミート系の特異な現象の一つとして知られる異常表皮効果を示す1次元量子ウォークのモデルを理論構築し,このモデルの性質についての理論研究を開始した.さらに,このモデルに対する実証実験を行うため,量子光学系における実験系構築に着手した. また、テラヘルツ波に対するPT対称性の破れを用いた非従来型導波路を実現するために,1次元鎖を用いた理論モデルに対する計算を行い,透過率の流出効果の強さ依存性についての定性的な理解を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
開放量子系において高次トポロジカル数を有する非ユニタリ-量子ウォークに関する理論・実験研究が順調に進展しており,この研究をまとめた結果がPhysical Review A誌に掲載された.さらに,この発展研究や、他の研究に関しても,理論面での理解が深まったため、一部で実験研究を開始している.このことから,本研究は,概ね順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
非エルミートな系における特異な現象の一つとして,隣接サイトへのホッピング項の値が左右で異なる系で発現する異常表皮効果がある.本年度は,異常表皮効果を示す1次元及び2次元の量子ウォークのモデルの性質の詳細を理論的に調べる.さらに,この量子ウォークを減衰効果のみを取り入れた量子光学により実現する実験系を構築し,理論結果と比較を行い,異常表皮効果の実証実験を行う.また,PT対称な非エルミート・ハミルトニアンと弱値との関係について理論的に調べる. PT対称性の破れを用いた非従来型導波路についての理論・実験研究を行う.前年度行った,1次元鎖で近似した系に対する理論結果を基に,より現実的な系における電磁波分布を,マクスウェル方程式を有限要素法により数値的に解くことにより求める.その結果を基に,デバイス設計を行う.さらに,増幅効果を取り入れた系における理論計算を進める.
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Research Products
(32 results)