2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of large-scale first-principles MD and its applications of nano-structured materials
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18H01143
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
宮崎 剛 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, MANA主任研究者 (50354147)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 彩子 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 主任研究員 (20595152)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 大規模DFT計算 / 触媒 / ナノ粒子 / 物性物理 / 理論化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、計算量が原子数Nに比例するオーダーN法を用いた大規模第一原理分子動力学が高精度基底を用いて行えるようにするため、高精度基底を効率的に使うことを可能とするマルチサイト法と分子動力学の安定性を改善する拡張ラグランジアン断熱近似分子動力学法を融合した手法を、我々が開発してきた大規模第一原理電子状態計算プログラムCONQUESTに導入することが最初の大きなステップとなる。今年度は、このステップを実現するために、分子動力学の途中で得られる座標に対してマルチサイト法を用いて最適化されたサポート関数の展開係数を新たな原子座標に対しても用いることを可能とするプログラムを作成した。オーダーN法を実現するためには、サポート関数が各原子に局在していることが本質的であり、非零の展開係数を持つ基底関数を持つ近接原子のリストは分子動力学を行なっている際に変わり続ける。さらに、CONQUESTでは並列計算効率が極めて重要であるが、分子動力学では各MPIプロセスが担当する原子も各時刻の座標によって変化する。その際には各原子に対する展開係数と近接原子の情報を同時に通信し、異なるプロセスにおける近接原子リストを自プロセスのリストに変換する手法が必要となる。これらを可能とするプログラムの作成を行った。同時に、長時間の分子動力学は複数のジョブで行われるので、MPIプロセス数が変わる場合にも前回のジョブで得られた情報を使って再スタートできるようにプログラムを作成した。 得られたプログラムを用い、拡張ラグランジアン断熱近似分子動力学の手法をサポート関数の展開係数に対して導入するための定式化とプログラム作成を開始した。また、第一原理分子動力学を高温の半導体、コアシェルナノワイヤ、生体系に対して適用するための準備計算を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
拡張ラグランジアン断熱近似分子動力学の手法をサポート関数の展開係数に対して導入するためのプログラム作成、テスト計算が当初想定したものよりも時間がかかっている。サポート関数はかなり局在していて、非零の展開係数を持つ基底関数を持つ近接原子のリストが大きく変わることが原因であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に開始した、拡張ラグランジアン断熱近似分子動力学をサポート関数の係数に対して実現するプログラムの開発、そして効率と安定性の改善を最初に行う。これは重要な問題なので時間をかける必要があるかもしれないが、当初の計画にあった自由エネルギー計算手法を導入するために必要な拘束分子動力学のCONQUESTへの導入を同時に進めることによって、計画に追いつくように努力する。手法、プログラム開発にはテスト計算の時間も多く必要となるが、課題後半で行う予定であった大規模第一原理シミュレーションによる応用計算の準備と実際に科学的に重要な系に対して理論研究も開始していく予定である。
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Research Products
(8 results)