2018 Fiscal Year Annual Research Report
X-ray spectroscopy of the novel ferroelectricity in oxide thinfilms induced by anisotropic electronic states of the oxygen
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18H01153
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中島 伸夫 広島大学, 理学研究科, 准教授 (90302017)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
手塚 泰久 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (20236970)
安井 伸太郎 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (40616687)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 異方的電子状態 / 偏光X線分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
通常のバルク体では強誘電性を示さないチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)や酸化ハフニウム(HfO2)をナノスケール薄膜にすると強誘電性が出現する。なぜ強誘電性が現れるのか?ナノ薄膜のX線解析は格子長を測定するのが限界で、リートベルト法による精密な原子位置決定ができないため、自発分極(陽・陰イオンの重心のずれ)の発現機構はわかっていない。 本研究では、薄膜に対する感度を高め同時にエネルギー分解能を向上させた蛍光X線検出X線分光法(高分解能XAS法)を用いることで、薄膜固有の格子歪みを元素選択的に調べ、酸化物薄膜に現れる新規強誘電性の発現機構の解明を目指す。高分解能XAS法の高感度な元素選択性を利用することで、陽イオンだけでなく、対をなす「陰イオン(酸素イオン)の配位環境の歪み」を電子状態の異方性を介して明らかにすることが可能になり、定量的あるいは定性的に誘電率や自発分極の増大が理解できるようになる。 研究初年度は、チタン酸ストロンチウム薄膜に対して偏光X線を用いたチタンK吸収分光測定を行うとともに、酸化ハフニウム薄膜のハフニウムL3吸収端共鳴発光スペクトル測定を行った。薄膜のため信号強度が弱いものの、特徴的な吸収ピークに異方性を反映していると期待される変化がみられている。研究計画2年目上半期に、統計精度を向上させた測定を行い、まずはチタンやハフニウムといった遷移金属の側から異方的電子状態を明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究対象物質について、ひとまずのスペクトルデータ測定はできている。この結果を踏まえて、次年度以降の準備(共同利用研究所の課題申請や研究協力者との相談)を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究初年度に測定したスペクトルで、異方性があると予測されるエネルギー領域を統計精度を上げて測定する。また、酸素K吸収端スペクトルの測定も行う。特に、理論計算による電子状態の予測の助けも借りて、異方性が期待されるべきスペクトル構造を中心に測定を進める。
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