2021 Fiscal Year Annual Research Report
Quantum interference effect on the surface of topological insulators
Project/Area Number |
18H01155
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
川村 稔 国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, 専任研究員 (60391926)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | トポロジカル絶縁体 / 電気磁気効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
トポロジカル絶縁体(Bi,Sb)_2Te_3薄膜に磁性元素であるCrを添加した磁性トポロジカル絶縁体における非散逸電荷輸送に関する実験研究をおこなった。磁性トポロジカル絶縁体の電磁気応答を記述するラグランジアンには、通常のマクスウェル項に加えてアクシオン項と呼ばれる磁場・電場結合を表す項が現れる。このアクシオン項の帰結として、磁場によって電気分極を引き起こす、トポロジカル電気磁気効果が期待されている。トポロジカル電気磁気効果では、その応答係数が量子コンダクタンスの半分の値に量子化することが理論的に予想されている。磁場によって電気分極を誘起するため、トポロジカル電気磁気効果ではエネルギー散逸なく電荷を輸送できる。 電気磁気効果を実証するために、磁性トポロジカル絶縁体薄膜をトーラス型に加工した試料を作製した。磁場変化に対する応答である分極電流を測定するために試料に交流磁場を印加する実験をおこなった。 磁性トポロジカル絶縁体の磁化が薄膜試料に対して垂直方向に磁化しているときに、交流磁場を印加すると、分極電流が観測された。この分極電流は、磁化方向を反転させると逆方向に流れることが分かった。さらに負荷インピーダンスの大きさを系統的に変化させることで、電気磁気効果の応答係数が量子コンダクタンスに一致することを確かめた。これは理論値の2倍の値であるが、実験で用いた試料では表面・裏面の2枚のトポロジカル表面状態からの寄与があることを考えると、自然に理解できる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トポロジカル絶縁体表面におけるエネルギー散逸を伴わない電荷輸送現象を測定した。これは、既に知られている量子異常ホール効果と相補的な現象であるが、当初は想定していなかった成果であり、当初の計画以上に進展していると言える。一方、この現象における量子干渉効果の役割は未解明な部分があり、今後検討していく必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
トポロジカル電気磁気効果の実験結果を論文にまとめると同時に、量子干渉効果の影響を議論していく。乱れが存在する実験系であるにもかかわらず量子化された電気磁気応答効果が得られたことは、量子干渉効果による局在の重要性を示唆している。トポロジカル電気磁気効果における乱れの効果を検証する研究を進める。
|
Research Products
(5 results)
-
[Journal Article] Quantum anomalous Hall effect with a permanent magnet defines a quantum resistance standard2022
Author(s)
Yuma Okazaki, Takehiko Oe, Minoru Kawamura, Ryutaro Yoshimi, Shuji Nakamura, Shintaro Takada, Masataka Mogi, Kei S. Takahashi, Atsushi Tsukazaki, Masashi Kawasaki, Yoshinori Tokura, and Nobu-Hisa Kaneko
-
Journal Title
Nature Physics
Volume: 18
Pages: 25-29
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-