2018 Fiscal Year Annual Research Report
三軸制御回転磁場下の磁化測定の実現と対称性の破れへの応用
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18H01164
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
榊原 俊郎 東京大学, 物性研究所, 教授 (70162287)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 磁性 / 相転移 / 対称性の破れ / 磁化測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は回転磁場下の磁化測定を行い、以下の成果が得られた。 1)Gdを含む金属錯体[Gd(ZnL)2]CF3SO3では、Gdサイトが3回軸上にあり、一軸性の結晶場を受けることが期待される。3回軸を含む面内で磁場を回転させて磁化測定を行った結果、磁化に明確な2回の角度振動が観測された。Gd三価イオンは軌道角運動量を持たないために結晶場による磁気異方性が出にくいイオンであるが、磁気異方性が観測されたことは非常に興味深く、その起源の解明が待たれる。 2)立方晶カイラル磁性体EuPtSiではスカーミオン相(A相)が出現することで興味が持たれている。このA相は、先行研究から[100]方向と[111]方向の磁場下で現れるが、[110]方向では現れないことが知られていた。今回、磁場を[001]方向から[110]方向へ回転させながら角度分解の磁化測定を行った結果、[001]方向と[111]方向の近傍のみでA相が出現するが、途中の[112]方向近傍および[110]方向近傍にはA相は存在しないことがわかった。Eu二価イオンも軌道角運動量を持たないイオンであり磁気異方性が小さいことが期待されるが、磁気相図は極めて異方的であることがわかった。 3)回転磁場磁化測定用に特化した磁化検出器(キャパシター)を新たに設計製作した。磁場回転時のトルクによる影響を大幅に抑えるように工夫したものである。 4)回転磁場磁化測定装置へ二軸のピエゾゴニオメータを導入するための作業を完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度、磁場回転の磁化測定で用いる磁化検出器(キャパシター)を新たに設計・製作した結果、以前に比べて測定の精度が改善された。その結果、上記のように角度分解磁化測定の実験で良好な結果が得られた。また、磁場回転の磁化測定装置へ二軸のピエゾ駆動ゴニオメータを導入するための作業が完了し、結晶の回転軸を結晶の対称軸に精度よく合わせた状態で磁場回転を行うための準備が整っている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究を遂行する上で特段の問題点はない。上記の二軸ゴニオメータと組み合わせた磁場回転磁化測定装置のテストを兼ねて、一軸異方性の磁性体(例えばCeRu2Si2)を用いて軸立ておよび磁場回転の磁化測定を行う。特に問題が無ければ、単結晶Biにおける3回対称性の破れの検証の実験にとりかかる。
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[Presentation] 擬カゴメ近藤格子系CeIrSnの磁気フラストレーション2018
Author(s)
津田研, 楊崇立, 山根悠, 梅尾和則, 志村恭通, 鬼丸孝博, 高畠敏郎, 福岡宏, 菊川直樹, 寺嶋太一, 廣瀬陽代, 宇治進也, 橘高俊一郎, 榊原俊郎
Organizer
日本物理学会2018年秋季大会