2020 Fiscal Year Annual Research Report
三軸制御回転磁場下の磁化測定の実現と対称性の破れへの応用
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18H01164
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
榊原 俊郎 東京大学, 物性研究所, 教授 (70162287)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 磁性 / 相転移 / 対称性の破れ / 磁化測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は作製した三軸回転機構の性能を確認するために、まずスピンアイス化合物Ho2Ti2O7の(1-10)面内の回転磁場下の磁化測定を行った。立方晶のHo2Ti2O7はスピンアイス物質特有の磁気異方性を示すことが知られている。およそ1.5 T以下の低磁場では磁化の大きさが[100], [110], [111]方向の順に小さくなるが、約2 Tでアイスルールを破るスピンフリップが[111]方向で起こり、これ以上の磁場では異方性が[100], [111], [110]の順へと変化するはずである。測定は、温度0.3 Kにおいて磁場1 T~3 Tの範囲で行った。その結果、期待どおりの磁気異方性が観測され、また[111]磁場方向のスピンフリップがこの温度では1次転移になっていることが確認された。
続いて、半金属Biにおける対称性の破れを検証する実験を行った。Biのフェルミ面は3回軸の回りに対称に3つの葉巻型の電子ポケットを有するのが特徴で、3つのバレー自由度がある。最近、磁場中の電気抵抗測定から、約40 K以下の低温磁場中で3回軸の対称性が破れていることが報告され、クーロン相互作用によりバレー占有数が不均衡となるバレーネマチック転移が起きている可能性が指摘された。これを熱力学量で検証するために、3回軸のまわりで磁場回転による磁化測定を行った。測定は温度2 Kにてトルクモードで行った結果、明瞭な3回振動の角度依存性が観測され、対称性の破れは見られなかった。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Magnetic properties of a spin-2 antiferromagnet with metal-radical hybrid spins2020
Author(s)
Y. Iwasaki, T. Okabe, N. Uemoto, Y. Kono, Y. Hosokoshi, S. Nakamura, S. Kittaka, T. Sakakibara, M. Hagiwara, T. Kawakami, H. Yamaguchi
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Journal Title
Phys. Rev. B
Volume: 101
Pages: 174412(1-6)
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Kitaev Spin Liquid Candidate OsxCl3 Comprised of Honeycomb Nano-Domains2020
Author(s)
K. Kataoka, D. Hirai, T. Yajima, D. Nishio-Hamane, R. Ishii, K.-Y. Choi, D. Wulferding, P. Lemmens, S. Kittaka, T. Sakakibara, H. Ishikawa, A. Matsuo, K. Kindo and Z. Hiroi
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Journal Title
J. Phys. Soc. Jpn.
Volume: 89
Pages: 114709(1-9)
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] スピン液体候補カゴメ格子磁性体Cu-CAT-1の磁場中帯磁率と磁化曲線2021
Author(s)
丸本涼太, 松下琢, 張中岳, 山口明, 榊原俊郎, 三角勇気, 阿波賀邦夫, 土射津昌久, 清水康弘, 伊藤正行, 和田信雄
Organizer
日本物理学会第76回年次大会
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