2020 Fiscal Year Annual Research Report
Supersolidity and the quantum spin liquid state in monolayer of helium
Project/Area Number |
18H01170
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福山 寛 東京大学, 低温科学研究センター, 特任研究員 (00181298)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村川 智 東京大学, 低温科学研究センター, 准教授 (90432004)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 単原子層 / 量子液晶 / 超固体 / 量子スピン液体 |
Outline of Annual Research Achievements |
グラファイト上に吸着した2層目ヘリウム(4He)の単原子層量子液体が高密度域で量子局在する際、その前段階として、部分的な空間秩序をもつ新奇な「量子液晶(QLC)」を形成するという我々の仮説を検証するため、比熱とねじれ振り子応答を同時測定できる装置を使い、各熱力学相の超流動特性を決定した。すなわち、超流動応答に相当するねじれ振り子の共鳴周波数変化(df)は、密度上昇と共に(1) 気液相分離の終了から密度が一定量増加して初めて連続的に増加し始める、(2) QLC相との共存域に入るや否や急激に減少するが、(3) 純粋QLC相でも有限に留まり、(4) 固相との共存が始まると再び減少し始め、(5) 純粋固相では誤差の範囲でゼロとなる。(3)からQLC相が量子流体の性質を併せもつことが確定し、量子液晶仮説の信憑性が一段と高まった。またdf が温度の対数に比例する奇妙な温度依存性や (1)(2)(4)の振る舞いが、グラファイト基板の微結晶粒界で接合した超流動ジョセフソンネットワークモデルとパーコレーション理論によって定量的に説明できることも分かった。この知見を基に理論家との共同研究を進め、3He系での核スピン量子液体状態出現に量子液晶構造が本質的に重要であるとの結論を得た。 本研究では当初、QLC相の空間秩序の有無を直接観測するための中性子散乱実験を英国グループと共同立案する計画であった。しかし、コロナ禍のため方針を変え、SPring-8の放射光X線散乱実験でこれを達成する共同研究を兵庫県立大と高輝度光科学研究センターのグループと進めた。新たに設計製作した装置を使って、本測定に適した熱分解グラファイト基板表面をX線散乱で評価し、4He単原子層試料を吸着したときの散乱強度変化の観測に成功したことで、これが量子液晶仮説に最終決着をつける新たな実験手法として有望であることを示した。
|
Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
|