2020 Fiscal Year Annual Research Report
時空間分解テラヘルツ流動光学の創出とゴムの力学特性と内部フィラー構造の相関解明
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18H01190
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岡野 真人 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 講師 (10612525)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | テラヘルツ偏光計測 / 黒色ゴム / 応力軟化 / 応力緩和 / 流動光学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、黒色ゴムの力学応答について下記の2つに着目して研究を進めた。(1)応力軟化にともなう内部フィラー構造の変化について有効媒質理論モデルを通じて理解すること。(2)応力緩和の温度依存性を調べることで、ゴム複合材料系における温度周波数換算則について知見を得ること。以下で各内容の概要を述べる。 (1)ゴム材料における実験の再現性の低さを補うために統計的手法を用いることで、材料系の典型的な振る舞いを抽出した。次に、抽出した応力軟化時の誘電応答スペクトルを有効媒質理論によって解釈するために既存のモデルを改良し、任意の延伸率における誘電応答スペクトルを計算することに成功した。このモデルを用いて実験をフィッティングし、得られたパラメータの変化から応力軟化中には内部フィラー構造が等方的かつ小さくなる傾向が示唆され、テラヘルツ偏光計測とモデル解析を通じて内部フィラー構造を可視化することに一部成功した。 (2)相互作用が小さいウレタンゴム-フィラー系に対してガラス転移点(~-40℃)から~100℃-まで温度を変えながら応力緩和とテラヘルツ複屈折緩和の同時計測を行った。応力緩和と異なり、複屈折緩和に対してはマスターカーブを作成することが困難であったため、ゴム複合材料系における温度周波数換算則についての知見を得ることはできなかった。一方で、応力緩和の傾きが大きくなる高温時において、複屈折が時間に対して徐々に増加していくという特異な振る舞いを観測した。これは、高温時には活性化するマクロブラウン運動によって複屈折の起源であるフィラーの配向がより強く起こるためだと解釈できる。この温度依存性は相互作用が小さいことを反映していると考えられるため、応力緩和の温度依存性を調べることでゴム-フィラー間の相互作用を評価することができる可能性が示唆された。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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