2020 Fiscal Year Annual Research Report
Study of material migration in helical fusion devices
Project/Area Number |
18H01203
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
増崎 貴 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (80280593)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 材料輸送 / LHD / W7-X / ERO2.0 / プラズマ対向材料 / 方向性マテリアルプローブ / 堆積層 / 色分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はヘリカル型プラズマ閉じ込め装置におけるプラズマ対向材料移動の機構を明らかにし、予測可能とすることを目的として、日本とドイツの大型装置であるLHDとW7-Xを用い、実験と計算機シミュレーションの両面から研究を進めている。シミュレーションでは、ドイツで開発された3次元材料追跡コードERO2.0をLHDに適用する。 LHDではERO2.0を用いたシミュレーションが進展した。炭素製のダイバータ板の損耗とダイバータ板から放出された炭素の再堆積分布、局所的に粉末状で投入したホウ素のプラズマ対向壁上の堆積分布のシミュレーションが行われ、論文にまとめられた。前者は実験観測と良い一致を得た。後者については、ダイバータ板や材料試料の分析を行いシミュレーション結果と比較する。 LHDの2020年度実験で、67個の方向性マテリアルプローブを真空容器内に設置した。特に、上下の対象な位置にプローブを設置し、上下非対称性を調べることとした。実験終了後、プローブを取り出し、現在分析を進めている。 LHDでは2017年度実験から重水素プラズマ実験を行っている。重水素・重水素核融合反応で発生したトリチウムがどのように真空容器内に残留しているのかを調べたところ、第一壁では、ダイバータ板から物理および化学スパッタリングにより放出された炭素が再堆積する場所に比較的多くのトリチウムが蓄積していることが分かった。方向性マテリアルプローブとイメージングプレート法を組み合わせることで、堆積層形成の方向性とともに、トリチウム蓄積の方向性も分析が可能になることが分かり、それぞれの方向性を比較分析した結果を、2021年5月の国際会議で発表する。 W7-Xに設置した方向性マテリアルプローブの表面微細構造分析、核融合研に輸送されたダイバータ板の表面堆積層分析を進めている。後者については、2021年5月の国際会議で発表する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ERO2.0コードのLHDへの適用が進展し、局所的に導入したホウ素や、ダイバータ板から放出された炭素の輸送をシミュレーションした結果を論文としてまとめた。 LHDにおける実験では、2019年度実験で真空容器内に設置した方向性マテリアルプローブを取り出し、表面分析を進めている。また2020年度実験でも新たに方向性マテリアルプローブを設置した。2018年度の実験で設置し、同実験後に取り出した方向性マテリアルプローブの分析結果について、2021年5月に開催される国際会議で発表する。 W7-Xについては、実験後に真空容器内で実施したプラズマ対向壁表面色分析結果をまとめ、論文として発表した。また、取り出して核融合科学研究所に輸送されたダイバータ板試料の表面分析が進展し、やはり2021年5月の国際会議で成果を発表する。 これらのことから、本研究は概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は本研究の最終年度となる。ERO2.0のLHDへの適用については、タングステンの輸送計算のため、可能であれば核融合研の研究者がユーリッヒ研に滞在し、同コードの開発者であるユーリッヒ研究所の研究者と密接に議論し作業する。 LHDの2018~2020年度実験で真空容器内に設置した方向性マテリアルプローブの分析を進め、堆積層形成の方向性について、各年度で違いがあるか、その機構は何かを調べる。また2019年度及び2020年度の方向性マテリアルプローブについて、イメージングプレート法によるトリチウム蓄積の方向性と堆積層形成の方向性の関係を明らかにする。ERO2.0コードによる、方向性マテリアルプローブ位置の堆積層形成シミュレーションを行う。計算時間がかかるため、シミュレーション用の計算機を購入する。シミュレーション結果と分析結果を比較し、まとめる。 W7-Xについては、方向性マテリアルプローブの分析を完了し、同装置の第一壁上の堆積層形成の方向性についてまとめる。核融合研に輸送済みのダイバータ板試料の分析により、ダイバータ板上の堆積層形成のトロイダル異方性および上下異方性の有無、異方性がある場合にはその形成機構を明らかにする。W7-XのERO2.0コードによる材料輸送シミュレーションがドイツの研究者により行われている。シミュレーション結果と試料分析結果を比較し、まとめる。 LHDとW7-Xの堆積層形成機構を比較し、その同異を調べて、本研究をまとめる。
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Research Products
(17 results)