2020 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical Study of High-Energy Multimessengers from PeV Sources
Project/Area Number |
18H01215
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井岡 邦仁 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (80402759)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 高エネルギー天体 / マルチメッセンジャー / 宇宙線 / ブラックホール / ジェット |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度から、繰越の2021年度、2022年度にかけては主にガンマ線バーストのジェットの構造の研究、飛散物質中のジェットの伝搬の研究、飛散物質のフォールバックによるX線放射の研究、及び、高速電波バースト (Fast Radio Burst; FRB) に関する研究を行なった。以下ではその中からいくつかを選んで報告する。 ジェットが構造を持つことは残光の観測から示唆されていたが、今までは、ジェットの構造の関数系を仮定して残光をフィットするという方法が用いられていた。我々は、関数系を仮定せずに残光から逆解きしてジェットの構造を求める方法を新たに開発した。この方法でジェットの構造を求めてみたところ、驚くことに、残光の観測エラーの範囲内で、さまざまな形状の構造が許されることが分かり、更なる観測が必要であることが分かった。 連星中性子星合体後に飛び散った物質が、再び中心のブラックホールに降着することで、GW170817の数百日後に観測されているX線を説明するフォールバックモデルを提唱した。世界に伍してタイムリーにフォールバックモデルを提唱することができただけでなく、r過程元素合成に対して制限を与えたのは我々だけであった。 宇宙で最も明るい電波の突発現象である高速電波バーストについては、周期的FRBに対する連星モデルを提唱した。これは代表的なモデルとなり既に引用も90を超えている。また、マグネターのバーストからFRBが観測された。ガンマ線バーストの火の玉モデルを応用し、バースト時にどのようなプラズマのアウトフローが生成されるのかを計算し、FRBを説明できるぐらいのエネルギーを持てることが分かった。また、FRBの電波分散度を用いた宇宙論をさらに発展させた。特に、分散度の統計的性質を宇宙論的銀河シミュレーションで求め、解析的公式を得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
予想以上の新しい観測的進展に対して的確に対応できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
PeV天体として高速電波バーストは新しく、多くの研究する謎がある。本科研費は繰越をした2022年度で終わりとなるが、本科研費で新しく研究の方針ができた高速電波バーストに関しては、さらに研究を進めて行きたい。また、ガンマ線バーストに関してもマルチメッセンジャー天体として今後観測が進むと考えられる。今後は天体の多様性が明らかになってくるはずなので、そこでこれまで考えていなかった物理を考慮して研究を進めたい。
|
Research Products
(29 results)