2018 Fiscal Year Annual Research Report
Investigating topology of QCD with domain-wall fermion action
Project/Area Number |
18H01216
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
深谷 英則 大阪大学, 理学研究科, 助教 (70435676)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | トポロジー / 量子色力学 / 格子ゲージ理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
220MeV以上の高温QCDのシミュレーションの結果、トポロジー励起がカイラル対称性を損なう手法の従来の研究に比べて、有意に抑制されていることが確認できた。これはドメインウォールフェルミオンと、再重みつけしたオーバーラップフェルミオンの双方で確認した。特に2018 年度の研究では、温度を 220MeV に集中し、異なる 3 点の体積でシミュレーションを実行、2.4fm 以上のサイズの格子で無矛盾な結果を得た。一部重いクォークで2fm以下の格子で大きな差異が見られたが、アスペクト比が2と小さいので、許容範囲である。ただ、1次相転移の有限クォーク質量における存在も無視できないためさらなる解析が必要である。でさらに axial U(1)感受率、 中間子,バリオン2点相関関数の計算も実行、複数の異なる観測量のカイラル極限が、axial U(1) アノマリーの消失と統計誤差の範囲で無矛盾であることを確認した。さらにカイラル感受率の計算では、SU(2)xSU(2)の破れではなく、axial U(1)対称性の破れが支配的であることを初めて明らかにした。この結果は、Dirac 演算子の固有モード展開を用いて、ある程度解析に理解できることをも示した。今後のQCD相転移の研究にも有用な知見であると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた2フレーバーのシミュレーションはほぼ終了、現在解析をまとめ論文発表を準備している。有限体積効果、格子間隔誤差、有限クォーク質量の系統誤差もよくコントロールできていることが確かめられた。今後、より現実的な2+1フレーバーQCDシミュレーションの実現へ向けて研究を進められる成果が得られた。
|
Strategy for Future Research Activity |
継続課題として研究を続行する。特に重いクォーク質量のシミュレーションで見られた有意な有限体積効果の原因を理解したい。有限体積効果がクォーク質量が重い領域でのみ見られるのは一見直観と反する結果であるが、カイラル対称性の 破れている相との境界が有限クォーク質量に存在するという解釈もでき、実際、二相共存状態を再現している可能性のある Dirac 演算子の固有値の履歴も確認している。これらの結果をさらに相転移近傍で精査し、有限クォーク質量における相転移の有無、もし存在した場合はその次数を決定することを目標とする。さらに、より現実に近い2+1フレーバーQCDのシミュレーションにも着手する。
|
Research Products
(20 results)