2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18H01226
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神谷 好郎 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助教 (90434323)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
駒宮 幸男 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 名誉教授 (80126060)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 未知短距離力 / 低速中性子 / キセノン / 小角散乱 / ピクセル検出器 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、低速中性子ビームと原子ガスの散乱角分布を精密に測定し、既知の散乱過程による分布からのずれを評価することで、結合の弱い新しい相互作用とその媒介粒子を探索することである。科学研究費・若手 B(平成 25 年度より) の助成による実験の成果を発展させ、基盤的研究として推進していくことを目的とする。本研究期間内においては、フランス・ILL 研究所 (Institut Laue-Langevin) において実験セットアップを組み上げ、ナノメートルスケールにおける新しい相互作用について、現在の世界最高の探索感度より約 1 桁の感度改善を目標とする。また、開発した実験セットアップを ILL 研究所の PF2-VCN の極冷中性子ビームラインにインストールし、系統誤差の抑制と数十ナノメートルスケールにおける新物理の探索の可能性について研究する。
本研究期間においては、ILLの物性用冷中性子ビームラインにおいて計測した実験データーを基にして、到達距離を持つような未知短距離についての制限を求めた。解析に使える実験データは、ビームライントラブルのため当初想定していたものよりも少いものではあったが、最もシンプルなモデルである湯川型の未知短距離力に対し探索したところ、1 nm のオーダーにおいて世界最高の探索感度を確認することができた。本到達感度までにおいて、質量に結合するような重力に準ずる新物理の兆候は見えていない。また、素粒子の大統一理論においてレプトン数とバリオン数に混ざりが期待されるが、その影響をひきずったとしたエキゾチックな保存電荷に対する制限をつけることができた。結果は、第14回の Asia-Pacific Physics Conference (APPC19) において報告をた。プロシーディングスとして出版されることが決定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、位置分解能を持つ中性子検出器とその読み出し回路基盤の開発を進め、大気中での計測試験を行うまで進めることができた。設計通りのパフォーマンスが確認でき、それを元にした時期フェーズに予定する新物理探索へ向けた設計シミュレーション環境の構築を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
真空チャンバーの開発を進めているおり、その完成を待って排熱経路の状況を計測する。また、中性子の量子束縛状態を操作するガイド管の制作を行い、時期フェーズ実験のプロトタイプ制作に進む。
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Research Products
(6 results)