2019 Fiscal Year Annual Research Report
Hi-resolution Imaging of Far-Infrared Point Sources with Balloon-Borne Interferometer
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18H01255
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
芝井 広 大阪大学, 理学研究科, 教授 (70154234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 太郎 名古屋大学, 理学研究科, 准教授 (00548464)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 遠赤外線干渉計 / 宇宙赤外線望遠鏡 / 気球搭載望遠鏡 / 晩期型星ダスト / 星生成領域 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々が完成させた世界初の宇宙遠赤外線干渉計FITE (Far-Infrared Interferometric Telescope Experiment) を用いて、空間分解能3 - 5 秒角の遠赤外線観測を実現することが本研究の主目的であった。観測対象天体としてAGB星及び大規模星形成領域を選び、この分解能で遠赤外線観測を行い、ダスト分布の空間情報を得ることで目的が達成される。得られたデータを、サブミリ波などの観測データと合わせて解析することで、ダストの温度分布と密度分布について優れた解像度のデータが得られる。このように、世界初の遠赤外線干渉計観測技術を確立し発展させることで、AGNエネルギー源の特定、銀河スターバースト本体の解明、原始惑星系円盤の温度分布解明などに有効な観測技術を実証する。科学観測用大気球の打ち上げのために、オーストラリア・アリススプリングスの打ち上げ基地において準備を進め、2018年度に打ち上げ直前の状態まで達した。しかしながら上層風と地上風の条件が整わず、打ち上げを実施できなかった。2019年度に打ち上げ機会を求めたが、JAXA宇宙科学研究所及びオーストラリア気球打ち上げ機関(ニューサウスウェールズ大学)においてキャンペーンを実施しなかったため、そのまま日本国内にて待機した。また、この科学観測用大気球搭載型宇宙遠赤外線干渉計のために、新たに多ビーム同時干渉計調整装置を開発したが、この成果を取りまとめて査読付き雑誌論文にて公表した。この成果は、気球搭載望遠鏡だけでなく、将来のスペース干渉計の調整法にも応用可能な新手法である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前述のように、2018年度には上層風と地上風の条件が整わず、打ち上げを実施できなかった。従って、装置一式を国内に返送した。翌2019年度に打ち上げ機会を求めたが、JAXA宇宙科学研究所及びオーストラリア気球打ち上げ機関においてキャンペーンを実施しなかったため、そのまま日本国内にて待機した。その間、名古屋大学において新たな実験・保管スペースを利用できることになり、装置の維持管理、輸送による破損個所の修理、保管場所の整備などをおこなった。
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Strategy for Future Research Activity |
世界中で大型気球搭載望遠鏡を打ち上げられるのは、米国、スウェーデン、オーストラリア、ブラジルに限られる。スウェーデンは打ち上げ費用が高額すぎて不可能、米国は外国の装置を受け入れない。ブラジルは技術的に課題が多い。また、我々はオーストラリア・アリススプリング基地からの打ち上げを目標に、十分な準備を行ってきたが、他の基地のシステムに合わせるのは容易ではない。従って、オーストラリアにおいて次の打ち上げ機会を待つことが最善の方法であると判断している。2020年度においてもオーストラリア・アリススプリング基地からの打ち上げ機会を探るが、機会が得られない場合は、装置一式を長期間、維持管理し、次の打ち上げ機会に速やかに対応できるようにする。
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Research Products
(5 results)