2018 Fiscal Year Annual Research Report
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18H01268
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
瀬戸 雄介 神戸大学, 理学研究科, 講師 (10399818)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 浮遊溶融法 / コンドリュール |
Outline of Annual Research Achievements |
コンドリュールの形成に関して様々な理論に基づくモデルが提案されているが、原始惑星円盤を模擬(無容器、還元雰囲気)することは技術的に困難な点が多く、再現実験による研究報告は十分ではない。そのため本研究では、新たな加熱溶融法として、縦型管状炉・ガス浮遊法・レーザー加熱法を組み合わせたハイブリッドシステムの開発に挑戦している。 従来の浮遊実験では加熱源として二酸化炭素ガスレーザー(10μm)が使われている例が多いが、冷却系が大規模になり特殊なレンズを使う必要があるというデメリットがあった。そこで本研究では出力100W波長1.06 μmファイバーレーザー(SPI社 redENERGY G4)を新規導入し、セットアップを行った。ファイバーレーザーは小型堅牢で比較的安価であり、加熱効率の波長依存性を高出力で補うことが可能である。実際にケイ酸塩物質(蛇紋岩)を加熱し、10%程度の出力で完全に溶融することを確認した。さらにレーザーを光学定盤上に設置し、試料はハーフミラーを介して超長焦点のCCDカメラでモニタリングをするシステムを構築した。加熱時のレーザー制御には高速性が求められるため、PC通信による制御プログラムも開発した。 また、浮遊させる試料のサイズや形状を真球状に加工することは本研究において非常に重要な技術要素である。初期形状がいびつな場合、浮遊が安定せず、そのまま加熱するとノズル部と接触し張り付いてしまう。そのため転動造粒法と呼ばれる技術で粉末試料を真球状に焼結成型する装置を開発した。具体的には、傾斜した浅いパンを低速で回転させ、原材料となる酸化物粉末試料を導入し、造粒促進剤(ポリエチレングリコールなど)を添加して粒体を形成するものである。この方法によって直径1-2 mm程度の大きさの球状の出発物質を作成することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レーザー装置の選定及びセットアップ作業は特に問題なく順調であった。出力制御のプログラムもほぼ完成している。 縦型管状炉本体および浮遊ガスの導入部分はすでに稼働しており、最高1500℃の状態で動作可能である。現在はこのシステムにレーザー光を導入する光学系を設計している段階である。 ノズル部分の最適化については、まだ数種類の形状しか作成していないが、数分程度であれば安定浮遊させることが出来ている。さらに安定浮遊する条件を模索している状況である。 また、転動造粒法で作成した出発物質については、粒度分布にばらつきがあることや材料強度が低いことが分かっているので、今後造粒促進剤の変更やその後の焼結プロセスの改良を行う必要がある。 以上のことを総合的に判断して、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
まず喫緊の課題として、ノズル部形状やガス流量の最適化作業を行う。ノズル部分は、まずは銅やアルミなどの加工しやすい素材を使用し、高精度の小型CNCフライス盤によって加工することで、様々な形状のものを作成する。ある程度の形状最適化を行った後は、ノズル材質を実際に炉内で使用するアモルファスカーボンに変更する。 さらに、導入済みのファイバーレーザーを加熱源として用いて、試料を浮遊させ空中で溶融状態を作り出す。コンピューターヴィジョンによって浮遊状態をリアルタイム解析することも検討している。これらの作業が終わったのち、ノズル部を縦型管状炉に導入し、縦型管状炉・ガス浮遊法・レーザー加熱法を組み合わせたハイブリッドシステムの完成を目指す。
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