2019 Fiscal Year Annual Research Report
Decadal climate variability over East Asia and the Northwestern Pacific and its mechanism
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18H01278
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小坂 優 東京大学, 先端科学技術研究センター, 准教授 (90746398)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 尚 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (10251406)
久保田 尚之 北海道大学, 理学研究院, 特任准教授 (40359211)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | エルニーニョ・南方振動 / 熱帯太平洋十年規模変動 / インド洋-西太平洋キャパシターモード / シルクロードパターン / 地球温暖化 |
Outline of Annual Research Achievements |
エルニーニョ・南方振動 (ENSO) がその発達年の翌夏に東アジア・北西太平洋域にもたらす大気循環偏差についてエルニーニョ・ラニーニャ非対称性を発見し、ENSO発達期と衰退期の気候影響の違いとエルニーニョ・ラニーニャの時間発展の非対称によってそれが概ね説明できることを示した。またこのENSOの遅延影響メカニズムのレビューを執筆した (業績は2020年度の実績報告書に記載予定)。これらの熱帯経年変動に伴う北西太平洋気候変動の長期変調を解析するためのデータレスキューも推進した。 並行して、2018年夏季に日本列島を襲った豪雨と引き続く熱波に関連した研究を進めた。熱波の主因であったシルクロード遠隔影響パターンが地球温暖化に伴って弱化することを大規模アンサンブルシミュレーションデータセット「d4PDF」から見いだし、その要因を調査した。またこれらの極端気象をもたらした大気循環や、豪雨をもたらした水蒸気収束に対する日本周辺の海面水温偏差の寄与を評価した論文に貢献した。 冬季東アジアの異常気象については、北極海氷変動に伴うユーラシア大気循環変動について、大気-海洋-海氷相互作用の実態とそれによる増幅効果を調査した論文に貢献した。さらに、この北極海氷変動に対する熱帯太平洋十年規模変動の遠隔影響について、気候モデルを用いてエネルギー収支に基づいた北極域での局所増幅メカニズムを見いだした。 この他、前年度に行った梅雨前線特定手法とそれに基づく梅雨前線変動メカニズムの研究について学会発表を行い、論文執筆を進めた。また数十年規模気候変動の指標、冬季北太平洋振動の気候モデル再現性、2019年夏季の北太平洋における海洋熱波、近年起こった地球温暖化の十年規模停滞とも関連する北半球冬季の海陸間気温十年規模変動の寄与についての国際共著論文にそれぞれ貢献し受理された(論文業績は2020年度の実績報告書に記載予定)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年夏に発生した西日本豪雨と引き続く記録的な熱波を受け、当初の予定を修正し、これらの異常気象に関連した気候変動とその長期変調の解析を始め、それらがまとまった研究となり、国内外での学会発表や英文での査読付き論文投稿に至るなど、大きく進展した。一方で、熱帯太平洋・インド洋海洋変動に伴う北西太平洋気候変動に関しても2019年度より研究を進めており、ENSO発達年と衰退年の気候影響の非対称性など、長期変調のメカニズム理解の基礎となる解析結果を得ている。以上から、課題全体として概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果をとりまとめ学会で発表し、国際誌に投稿する。特に梅雨前線特定とその経年変動については論文の執筆を進めており、またシルクロードパターンの長期変調については発表予定だった国際学会が中止となったが、別の発表機会を見つけて発表し、また論文執筆を進める。 ENSOによる東アジア・北西太平洋への夏季気候影響については、ENSO発達期と衰退期の違いとこれに基づくエルニーニョ・ラニーニャの非対称な影響メカニズムについても論文の執筆を進めている。さらにこの成果に基づいて、夏季北西太平洋・東アジア域の大気循環変動の数十年規模変調の解析を、データレスキューにより得られた過去データも用いつつ推進する。
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Research Products
(34 results)
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[Journal Article] Primary Factors behind the Heavy Rain Event of July 2018 and the Subsequent Heat Wave in Japan2019
Author(s)
Shimpo, A., K. Takemura, S. Wakamatsu, H. Togawa, Y. Mochizuki, M. Takekawa, S. Tanaka, K. Yamashita, S. Maeda, R. Kurora, H. Murai, N. Kitabatake, H. Tsuguti, H. Mukougawa, T. Iwasaki, R. Kawamura, M. Kimoto, I. Takayabu, Y. N. Takayabu, Y. Tanimoto, T. Hirooka, Y. Masumoto, M. Watanabe, K. Tsuboki, H. Nakamura
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Journal Title
SOLA
Volume: 15A
Pages: 13~18
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] Airborne observation of Super Typhoon Trami in 2018 for understanding the mature stage of tropical cyclone in the Philippine Sea2019
Author(s)
Kubota, H., K. Tsuboki, H. Yamada, Y. Takahashi, T. Shinoda, T. Ohigashi, M. Yamaguchi, K. Ito, T. Nakazawa, N. Nagahama, K. Shimizu, Purwadi, and M. Sato
Organizer
Asia Oceania Geosciences Society Meeting 2019
Int'l Joint Research
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[Presentation] Airborne observation of Super Typhoon Trami in 2018 for understanding the intensity of tropical cyclone in the Philippine Sea2019
Author(s)
Kubota, H., K. Tsuboki, H. Yamada, Y. Takahashi, T. Shinoda, T. Ohigashi, M. Yamaguchi, K. Ito, T. Nakazawa, N. Nagahama, K. Shimizu, Purwadi, and M. Sato
Organizer
日本地球惑星科学連合2019年大会
Int'l Joint Research
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[Presentation] 航空機で観測した2018年台風24号の最盛期の暖気核2019
Author(s)
久保田尚之, 坪木和久, 山田広幸, 高橋幸弘, 篠田太郎, 大東忠保, 山口宗彦, 伊藤耕介, 中澤哲夫, 長浜則夫, 清水健作, Purwadi, 佐藤光輝
Organizer
日本気象学会2019年度春季大会
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