2018 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of 3-Dimensional Dynamics of Cumulonimbus using Multi-Frequency High-Resolution Radars and Surface Dense Observation Network
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18H01288
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
鷹野 敏明 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (40183058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 文明 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 応用科学群, 教授 (80202068)
樋口 篤志 千葉大学, 環境リモートセンシング研究センター, 准教授 (90324384)
中田 裕之 千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (30345011)
大矢 浩代 千葉大学, 大学院工学研究院, 助教 (00241943)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 気象災害 / 積乱雲 / ゲリラ豪雨 / リモートセンシング / 雲レーダー / ミリ波レーダー / 大気現象 / 自然災害予測・分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
局所的にもたらされる豪雨は、地球温暖化の影響も指摘されて近年その頻度が増大している。本研究は、局所的に発生する豪雨などの激変現象を、予測あるいは早い段階で捉えるために、原因母体である積乱雲や降水バンドの発生・発達を初期段階から捉えて、その発達メカニズムを解明することが目的である。そのために、本課題の初年度である 2018年度は、積乱雲の詳細観測が可能な高感度 Wバンド 95 GHzミリ波雲レーダ FALCON-Iと、広域の雲観測が実施できる日本無線(株)のXバンドフェーズドアレイレーダを主要な観測機器として、光学カメラや地上気象観測装置を用いた集中観測を 7月上旬から9月下旬まで実施した。特に FALCON-I では、天頂から±5°を一次元走査する「スキャンニング観測」を行うことで、雲の空間的広がりを捉えることにより内部運動・相互作用の詳細を解明することを目指した。観測期間中、典型的な夏期の積乱雲発達と局所的豪雨がもたらした雲や、台風に伴う積乱雲、前線に伴う積乱雲発生などに関連した雲を捉えることができた。これらのうち、8月27日に発生・発達した積乱雲は、練馬区などで1時間に70mmを超える非常に激しい雨をもたらしたが、この積乱雲はその後千葉まで拡がってきたようすを捉えることができた。FALCON-I のスキャニング観測のドップラースペクトルを解析したところ、高度が 10km 以上の積乱雲アンビルの内部で、大きさが 100~200m の雲塊が速度幅 4~6 m/s の激しい内部運動を示していることがわかった。また、降雨の降り始めの詳細な解析を行い、雲底で雨滴が急激に大きさを増大させて、数 100m のうちに直径 1mm に達して落下してくるようすや、一旦形成された雨滴が落下途中でまた蒸発するようすを捉えることができた。これらの結果は国内外の学会等で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題の初年度であった本年度 (2018年度)は、当初予定していた通り夏期の積乱雲集中観測を実施した。その期間中、気象庁の「降雨ナウキャスト」などを利用して、雲レーダ FALCON-I を設置している千葉大学付近に降雨域と積乱雲が近づく場合には、FALCON-I のスキャニング観測を実施し、雲と降雨の広がりおよび内部運動状態を捉えることを狙った。期間中、約20回のスキャニング観測を実施しし、前線通過・停滞による積乱雲や台風の外側積乱雲帯などを捉えることができた。また、日射熱雷を伴う典型的な大規模積乱雲については、東京都練馬区などで 1時間に 70mm を超える集中豪雨をもたらした 2018年8月27日の積乱雲の発生・発達のようすを、Xバンドフェーズドアレイレーダで広域的に捉えることに成功し、その内部運動を調べることができるとともに、この積乱雲の減衰期を雲レーダ FALCON-I で観測することができた。FALCON-I の観測では、この積乱雲コンプレックスの、高度が 10-13km のアンビル内で、数100m 程度の大きさの複数雲塊が速度幅 5m/s にわたる激しい内部運動を持って存在することなどが捉えられた。また、雲レーダ FALCON-I と情報通信研究機構(NICT)のウインドプロファイラ-の同時観測の結果について解析を進めた結果、高度 1km 程度の雲と気流の相互作用の詳細を明らかにすることができた。これらの結果はさらに詳しい解析が必要であるが、本研究課題はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の積乱雲観測の結果について、ドップラー観測のデータや光学ビデオのデータなどとも合わせて、積乱雲発生・発達のようすを詳しく解析する。また周辺の気象状況の調査も行い、発生に至る条件や発達のメカニズムを探る。また、本研究課題においては積乱雲発生・発達の現場を直接観測することは極めて有意義なので、さらに観測例を増やすために夏期の積乱雲集中観測を実施する。雲レーダ FALCON-I は空間・時間分解能が高く、またドップラー観測の速度分解能も高いので、スキャニング観測を行うことで、上空を通過する積乱雲の内部運動や発生・発達メカニズムを明らかにできると期待される。また、衛星データも参照することで、広い視野でのようすを調べるとともに、ウインドプロファイラでの観測により、地上からの熱対流と雲の生成・運動状態を解明する。
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Research Products
(18 results)
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[Journal Article] Periodic oscillations in the D region ionosphere after the 2011 Tohoku earthquake using LF standard radio waves2018
Author(s)
Ohya, H., Tsuchiya, F., Takishita, Y., Shinagawa, H., Nozaki, K., and Shiokawa, K
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Journal Title
Journal of Geophysical Research: Space Physics
Volume: 123
Pages: 1-6
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Oscillations of atmospheric electric field during snowfall in the Kanto region, Japan, using 95-GHz cloud radar FALCON-I2018
Author(s)
Ohya, H., K. Nakamori, M. Kamogawa, T. Suzuki, T. Takano, K. Morotomi, H. Nakata, and K. Shiokawa
Organizer
第144回地球電磁気・地球惑星圏学会講演会
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