2020 Fiscal Year Annual Research Report
High-resolution OSL chronology for exploring a regime shift of Quaternary crustal displacement
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18H01294
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
田村 亨 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 上級主任研究員 (10392630)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊代 浩子 (岡崎浩子) 千葉県立中央博物館, その他部局等, 研究員(移行) (10250135)
納谷 友規 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (90549891)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 第四紀 / 地殻変動 / 関東平野 / 地層 / OSL年代 |
Outline of Annual Research Achievements |
3年目となる令和二年度は,前年度までに2地点で掘削したボーリングコアの解析を進めた.ボーリングコアは通常の堆積相の記載に加えてX線CT画像の撮影を行った.太平洋岸沿いに近い鉾田市で掘削したGS-HKT-2コアでは最上部に礫質海浜-外浜ユニットが観察され,これは周辺の露頭で認められるものと対比可能である.それより下位の海成層では内側陸棚より沖合いの堆積物が観察された.やや内陸のかすみがうら市で掘削したGS-KUR-1は最上部に認められる河川相の下位に砂質海浜-外浜ユニットが観察された.GS-HKT-2コアと同様に周辺の露頭との対比から隆起速度の検討に用いることができる.それより下位の層序は複雑で,標高-30 m付近にも砂質海浜-外浜ユニットが観察され,より陸側のつくば研究学園地域で掘削されたボーリングコアとの対比に活用される. 珪藻は両コアともに砂質堆積物が主体であるため,ほとんど含有されていなかった.火山灰分析は角閃石のEDX分析を進め,GS-HKT-2コアの上部と最下部,また鉾田市の露頭で見られた火山灰層の対比を行った.GS-HKT-1コアのOSL年代は前年度までにほぼそろっていたものの,再度OSL信号特性の検討を行った所,これまでのpost-IR IRSL290ではなく,post-IR IRSL225の方が年代決定に適していることが明らかとなり,再測定を行った.飯岡台地の成果についての論文を執筆し,GS-HKT-1コアの成果ともに投稿には至らなかったが,次年度の前半に投稿できる段階に至った.露頭調査については,新型コロナウイルスの蔓延による出張自粛のため,行うことができなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画通りに進められている.新型コロナウイルスの蔓延により露頭調査が行えなかったが,前年度までに得られた結果により,とりまとめにはほぼ影響がない. OSL信号の見直しによる再測定により研究成果のとりまとめに時間がかかっているが,今後の研究成果の質を担保する上で極めて重要なポイントである.全体として大幅な遅れはなく,最終年となる令和三年度に当初期待されていた成果をあげることができる見込みである.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年となる令和三年度は,飯岡台地とGS-HKT-1コアの研究成果を投稿し,さらにGS-HKT-1を題材に確立したOSL年代の測定条件により年代測定をGS-HKT-2コアとGS-KUR-1コアの両方で展開する.これにより行方台地から東茨城台地でのMIS5以降の海岸堆積物の対比とそこから推定される地殻変動に関する研究と,関東平野中央部から北東部までの下総層群の地層対比と地殻変動の推定に関する研究との2つをとりまとめる.
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