2019 Fiscal Year Annual Research Report
深海底における長基線電場観測によるマントル遷移層研究の展開
Project/Area Number |
18H01302
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 久芳 東京大学, 地震研究所, 教授 (70302619)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 訓子 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(火山・地球内部研究センター), 技術研究員 (00509713)
歌田 久司 東京大学, 地震研究所, 特任研究員 (70134632)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | マントルダイナミクス / 海底長期観測 / 地球電場 / マントル遷移層 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、1 km に及ぶ長さのケーブルを深海底に敷設し地球電場を観測する「改良型地球電場計測システム(EFOS-X)」について、深海潜水艇を用いた設置および回収方法の検討を含めた設計を行い、システムを作成した。比較観測を行うことを目的として、沖縄-グアム間に敷設されている長基線海底ケーブルの沖縄側の陸揚げ局に、電場観測装置を新たに設置した。また、EFOS-X を用いた試験観測を小笠原海盆の水深約 3800 mの平坦な海底において1年間実施する計画が東京大学大気海洋研究所研究船共同利用により採択され、2019年8月に有人潜水調査船「しんかい 6500」を用いて EFOS-Xを設置することが決定した。これらに加えて、周期3時間から1日の周期帯において、地磁気静穏日日変化(Sq磁場変動)によってグローバル1次元地球に誘導される電磁場と、同じ周期帯において、同様の構造をもった平面地球に平面電磁場が入力することによる電磁場が混在する場合に得られる電磁応答関数に関する統計的な調査を行った。海陸分布や海底地形の影響による地表付近の電気伝導度不均質を考慮した、球状地球と平面地球における Sq 磁場変動による電磁誘導の差を評価する方法について検討した。 2019年度は、EFOS-X の改良や周辺機器の調達、および、観測船との設置手順の確認等、試験観測に向けた準備を継続した。しかし、2019年8月3日から16日に予定されていた機器設置航海は、研究船「よこすか」に乗船したものの、連続して発生した台風8号、9号および10号の影響により調査予定海域に到達することができず、設置はできなかった。解析においては、海洋潮汐流による誘導電磁場を求めるグローバルスケールの数値計算プログラムの開発を継続した。また、2018年度の研究成果の一部を、学会および論文として公表した
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度に EFOS-X システムの作成を完了し、2019年度はシステムの改良を行った。しかし、2019年度に実施予定であった試験観測は海域の状況により実施できず、試験観測は早くても2021年度に開始となる。 解析手法の開発については、Sq 磁場変動による電磁誘導の評価や海洋潮汐による電磁誘導計算手法の開発等、ほぼ予定通りに進んだ。
|
Strategy for Future Research Activity |
設置航海が2021年度に実施できるように、研究航海への申請を行う。 また、観測機会の確保のため、より簡便に設置できるシステムへの改良を検討する。 解析手法の開発と、既存の海底電磁場データを用いた解析を継続する。
|