2018 Fiscal Year Annual Research Report
Effect of graphite on mantle viscosity
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18H01307
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
石川 正弘 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (70232270)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | マントル / グラファイト / リソスフェア / 初期地球 / プレートテクトニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
地球はリソスフェアが複数のプレートに分割した惑星であり、プレート運動による造山活動によって複雑に進化した惑星である。プレートの沈み込みが開始するためには初期地球のリソスフェア強度が非常に小さいことが条件として考えられているが、かんらん石のレオロジーからリソスフェア強度を見積もると、非常に高い値をとる。したがって、初期地球のリソスフェア強度を現在の地球のリソスフェア強度から約一桁低くするためメカニズムを考える必要がある。先行実験から、微量グラファイトによる単斜輝石多結晶体の著しい粘性低下を確認し、グラファイトによるマントルの軟化に着目した。これまでも、マントル中のわずかな水がマントルの粘性を劇的に低下させることは広く知られているが、マントル中のグラファイトがその粘性に及ぼす影響はこれまでほとんど解明されていない。本研究課題では、グラファイトを含むかんらん石多結晶体を用いて、グラファイト含有量が粘性へ及ぼす影響を明らかにすることを目的とする。本年度は微量のグラファイトの含有量の測定のため炭素分析装置を導入した。予備実験として微量のグラファイトを含む単斜輝石多結晶体の炭素含有量を決定した。炭素分析装置の導入を行うことにより、焼結試料中の微量グラファイトの含有量の測定を可能にした。また、リアルタイムに温度を計測可能な冷却式粉砕機を導入した。かんらん石投入量、粉砕ビーズサイズ、ボールミル回転数、粉砕時間、インターバル等の項目について、詳細に実験・検討を重ねた結果、かんらん石試料の過熱を防ぎながら、サブミクロンオーダーまで粉砕する条件を決定した。これにより、グラファイトを含むかんらん石多結晶体の焼結実験に取りかかれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グラファイトのマントル粘性への影響を定量的に評価するためにはかんらん石多結晶体中の微量の炭素含有量を測定する必要があので、極微量な炭素まで測定可能な分析装置を導入した。これにより、予察的に準備していた微量のグラファイトを含む単斜輝石多結晶体の炭素含有量を測定した。本分析装置の導入により焼結試料中のグラファイトの含有量の測定ができるようになった。 焼結実験の出発物質として極細粒なかんらん石パウダーを準備するために、冷却式粉砕機によるかんらん石の粉砕条件について最初に検証する必要がある。すなわち、かんらん石投入量、粉砕ビーズサイズ、ボールミル回転数、粉砕時間、インターバル等である。これらの項目について、詳細に実験・検討を重ねた結果、サブミクロンオーダーのかんらん石パウダーを作成可能であることがわかった。これにより、グラファイトを含むかんらん石多結晶体の焼結実験に取りかかれる。
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Strategy for Future Research Activity |
冷却式粉砕機を用いて極細粒なかんらん石パウダーを準備する。グラファイトを含むかんらん石多結晶体の焼結実験を行う。顕微ラマン分析装置と炭素分析装置を用いることで、グラファイトを含むかんらん石多結晶体の炭素含有量を分析する。グラファイトを含むかんらん石多結晶体の高温クリープ実験を行う。これらの実験から、初期地球のリソスフェア強度の解明へ向けて、グラファイト含有量とかんらん石多結晶体の粘性の関係を明らかにする。
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Research Products
(1 results)