2018 Fiscal Year Annual Research Report
超高圧高温変形実験によるマントル遷移層鉱物の粘性率測定
Project/Area Number |
18H01315
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
川添 貴章 広島大学, 理学研究科, 助教 (40527610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 徹 広島大学, 理学研究科, 教授 (00291500)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | マントル遷移層 / ウォズリアイト / リングウッダイト / 粘性率 / 応力 / 歪 / 超高圧高温変形実験 / 放射光 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、広島大学大学院理学研究科に超高圧高温変形実験用の精密加工環境を整備し、大型放射光施設SPring-8において超高圧高温変形実験によるマントル遷移層鉱物の粘性率測定を行った。 本研究課題で行う超高圧高温変形実験を成功させるためには、実験用セルアセンブリーパーツの精密加工が不可欠である。この精密加工ができない場合、本研究課題の研究対象であるマントル遷移層に相当する温度圧力条件の発生に失敗し、超高圧高温変形実験ができない。また、実験試料に放射光X線を透過させることに失敗し、試料の粘性率(応力、歪)を測定できない。このため、まず広島大学大学院理学研究科に超高圧高温変形実験用の精密加工環境を整備した。 具体的には、(1)精密3次元加工機、レーザー加工機、精密穴あけ機などの精密加工装置群を立ち上げた。(2)パーツ加工専用の治具、精密計測機器などの工具を揃えた。(3)超高圧高温変形実験用セルアセンブリーパーツ用の材料を購入した。これらにより、~10μmの高精度でセルアセンブリーパーツを製作できるようになった。 製作したセルアセンブリーパーツを用いて、超高圧高温変形実験によるマントル遷移層鉱物の粘性率測定を行った。実験はSPring-8のビームラインBL04B1においてD-DIA型変形装置を用いて、2018年7月24日から28日(2018年度前期)と12月14日から18日(2018年度後期)に複数回行った。 今後は、温度・歪速度・含水量条件を拡大してマントル遷移層鉱物の粘性率を測定する。また、走査型電子顕微鏡を用いて回収試料の粒径・粒界形状を測定・観察し、透過型電子顕微鏡を用いて転位組織を観察し、顕微赤外分光法により含水量を定量する。これらにより、マントル遷移層の粘性率の主要構成鉱物(圧力)・温度・歪速度・含水量依存性を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度であった当該年度の目標は、(1)本研究課題で行う超高圧高温変形実験の成功に不可欠である実験用セルアセンブリーパーツの精密加工環境を整備し、(2)製作したセルアセンブリーパーツを用いた超高圧高温変形実験によるマントル遷移層鉱物の粘性率測定に成功することだった。 このため、まず広島大学大学院理学研究科に超高圧高温変形実験用の精密加工環境を整備することに取り組んだ。その結果、~10μmの高精度でセルアセンブリーパーツを製作できる環境を構築した。これは、当初の計画通りである。 次に製作したセルアセンブリーパーツを用いた超高圧高温変形実験を行い、マントル遷移層鉱物の粘性率測定に成功した。これも当初の計画通りである。これにより、当初に計画した測定データが順調に得られ始めている。 当該年度に当初予期していなかった深刻な問題は起きていない。当該年度7月に西日本豪雨が発生し、広島大学大学院理学研究科がある東広島市周辺でも大きな被害があった。この豪雨被害により物流が一定期間滞り、本研究課題の遂行にも影響した。しかし、当該年度全体としては当初計画した内容を進めることができた。 以上のことより、本研究課題は当初の計画通り「おおむね順調に進展している」と評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、(1)超高圧高温変形実験によるマントル遷移層鉱物の粘性率測定を継続して行い、(2)実験回収試料の分析を進め、(3)得られた研究成果を学会・国際学術雑誌で発表する。 当該年度に引き続き、超高圧高温変形実験によるマントル遷移層鉱物の粘性率測定を行う。2019年度前期の実験は、SPring-8のビームラインBL04B1において5月15日から18日と6月28日から7月1日まで行う。さらに粘性率データをより広い温度・歪速度・含水量条件で得るためにSPring-8の課題を継続して申請する。同時に実験回収試料の分析も進める。走査型電子顕微鏡を用いて回収試料の粒径・粒界形状を測定・観察し、透過型電子顕微鏡を用いて転位組織を観察し、顕微赤外分光法により含水量を定量する。これらによりマントル遷移層の粘性率の主要構成鉱物(圧力)・温度・歪速度・含水量依存性を明らかにする。 本研究課題は当初の計画通り進んでおり、研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での問題点はない。 得られた研究成果を学会で発表するとともに、論文原稿を執筆し、国際学術雑誌へ投稿する。
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[Presentation] The pressure and thickness of the post-spinel transition in (Mg,Fe)2SiO4 explaining the sharp 660-km discontinuity2018
Author(s)
T. Ishii, R. Huang, H. Fei, I. Koemets, Z. Liu, F. Maeda, L. Yuan, L. Wang, D. Druzhbin, T. Yamamoto, S. Bhat, R. Farla, T. Kawazoe, N. Tsujino, E. Kulik, Y. Higo, Y. Tange, and T. Katsura
Organizer
European Geosciences Union General Assembly 2018
Int'l Joint Research
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