2020 Fiscal Year Annual Research Report
初期生命におけるRNA・タンパク質共進化プロセスの再現
Project/Area Number |
18H01328
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
田上 俊輔 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (40586939)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | RNAポリメラーゼ / ペプチド / RNA |
Outline of Annual Research Achievements |
生命がどのように誕生したかは生物学に残された最も大きな謎の1つである.現存する生命の遺伝子発現機構は複数の分子種 (DNA,RNA,タンパク質) の共依存によって成り立っているが,そのような複雑な系が如何にして誕生・進化してきたのかは生命を理解する上で特に本質的な問いであると言える.これらの分子種の中ではRNAから進化が開始したという仮説 (RNAワールド仮説) が有力であり,その後,RNAとタンパク質の共進化により精巧な遺伝子発現機構に進化してきたと推測される.そこで本研究では,初期生命におけるRNAとタンパク質の共進化のプロセスを実験的に再現することを試みる.そのために, 人工的なRNA酵素 (リボザイム) の実験系をモデルに用い,RNA単独では克服できない課題を原始的なペプチド・タンパク質の添加により解決することで,「RNAワールドにおいて,なぜタンパク質が必要とされ,どのように進化が進行したか」を解明する.今年度は,正電荷をもったペプチドによるアミロイド形成を行い,そのような自己集合するペプチドのリボザイム活性への影響を調べている.その中で条件特異的にRNAポリメラーゼリボザイムの活性を上昇させるものを発見することができた.また,今年度はタンパク質のRNAポリメラーゼの中心構造に保存されている太古のタンパク質構造を短いペプチドで再現する実験を行った.その結果わずか7種類のアミノ酸で,古代タンパク質を再現することに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は,アミロイドペプチド上でリボザイムを濃縮し,さらにその活性を上昇させることに成功した.さらにRNAポリメラーゼの中心構造をわずか7種類のアミノ酸からなるペプチドで再構成することにも成功した.これらの実験結果は生命起原におけるペプチドの役割を考察する上で決定的なブレイクスルーであり,本研究は計画以上の進展をしている.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に得られたリボザイム活性上昇能を持つアミロイドペプチドと太古タンパク質構造を再現するペプチドについての詳細な解析を行い,論文として発表する.
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