2019 Fiscal Year Annual Research Report
次元変換型マルチビーム角度センサでの多元情報一括検出による次世代光学素子形状計測
Project/Area Number |
18H01345
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
清水 裕樹 東北大学, 工学研究科, 准教授 (70606384)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 超精密計測 / 生産工学 / 加工学 / 角度センサ / フェムト秒レーザ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,次世代半導体露光装置向けX線光学素子などに要求される超精密形状精度実現に必須となる超精密光学自由曲面形状計測技術確立を目的として,フェムト秒レーザと分光素子で生成する多元情報マルチビームを光源として用い,空間領域で一括捕捉した反射光群から周波数領域において各ビーム固有の光周波数をもとにビーム位置および局所的傾斜角情報(スロープマップ)を抽出する,「次元変換型マルチビーム角度センサ」を用いた新たな光学自由曲面形状計測原理を提案する.傾斜角およびビーム位置という空間領域の多元情報を周波数領域で一括取得する,これまでにない発想に基づく高速でロバストな計測原理の確立により,ビーム走査不要の光学自由曲面形状計測を実現し,測定不確かさを極限まで低減することを目的としている. 計画2年目である令和元年度は,前年度に引き続き主に【TaskⅠ】フェムト秒レーザと分光素子による多元情報マルチビーム生成手法の確立,および【TaskⅡ】次元変換型マルチビーム角度センサ光学系の最適化設計 に取り組んだ.【Task I】では,前年度構築のフェムト秒レーザ光源光学系に,コリメート光入射型マルチビーム生成光学系を組み合わせたプロトタイプ光学系を構築し,生成したマルチビームをビームプロファイラを用いて評価した.また【TaskⅡ】では,シングルモードファイバと光スペクトラムアナライザで構成した受光ユニットを有する光学式角度センサ光学系で実現可能な測定分解能および測定レンジを検討した.マルチビームを平面ミラー試料に入射し,得られた反射光群を光ファイバ受光ユニットで一括取得して光スペクトラムアナライザで周波数領域に次元変換し,ビーム固有の光周波数をもとに各ビームからの位置・姿勢角情報(スロープマップ)抽出を試み,構築した光学系で平面ミラーの角度変位が検出可能なことを実験的に明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおりに多元情報マルチビーム生成光学系を含むプロトタイプ光学系を構築し,原理検証実験を進めることができたことから,おおむね順調に進展しているものと判断している.
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Strategy for Future Research Activity |
計画最終年度となる令和2年度は,提案の光学自由曲面形状計測原理実現に向け,主に【TaskⅡ】次元変換型マルチビーム角度センサ光学系の最適化設計,および【TaskⅢ】スロープマップからの自由曲面形状復元アルゴリズム構築と光学表面形状評価に取り組む.【TaskⅡ】については,前年度までに構築したコリメート光入射型のマルチビーム生成光学系に加え,受光ユニットで捕捉する光スペクトルの演算が容易になると推測される収束光入射型のマルチビーム生成光学系も構築してその有効性を実験的に検討する.【TaskⅢ】については,前年度に検討したコリメート光入射型のマルチビーム生成光学系向けの自由曲面形状復元アルゴリズムについて,受光ユニットへの捕捉光斜入射の影響を低減するための補正式の適用を数値計算および実験を通して検討するとともに,これをベースとして収束光入射型のマルチビーム生成光学系に対応する自由曲面形状復元アルゴリズムも構築する.また,構築した光学系により,平面ミラーに加えて球面ミラー形状,および非球面ミラー形状を有するサンプルの表面形状評価を試み,市販のレーザ干渉計やプロファイル測定機で得られる測定結果との比較を行い,提案手法により走査不要の光学曲面形状計測が可能であることを実証する.
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Research Products
(8 results)