2018 Fiscal Year Annual Research Report
光触媒援用トランスファプリントによる酸化グラフェン積層膜の微細構造化
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18H01352
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
金子 新 首都大学東京, システムデザイン研究科, 准教授 (30347273)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 伊織 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任研究員 (70792266)
諸貫 信行 首都大学東京, システムデザイン研究科, 教授 (90166463)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 光触媒 / トランスファプリント / 薄膜 / 離型性 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は,主に①「光触媒援用トランスファプリント装置の製作」と②「光触媒スタンプの作製」を行った. ①では,現有設備であるトランスファプリント(TP)装置に紫外線(UV)LED光源を搭載する改修を行った.装置上部のジグをステンレスからガラスに変更し,上部からUV光の導入を可能にした.UV-LEDより波長365nmの紫外線がスタンプおよび試料へ照射可能となり,その照射範囲はφ15mmで,最大強度250mW/cm2となった.一方で,装置下部に小型荷重計を設置し,光触媒効果によるスタンプの離型力低減を測定可能となった.また,当該装置を雰囲気制御可能なグローブボックス内での使用を確認した. ②では,PDMSやガラスで製作したスタンプに光触媒であるTiO2を成膜し,同光触媒による有機分子の分解特性を明らかにした.はじめに市販のTiO2粒子とウェット成膜を用いて,TiO2粒子膜付きのPDMSスタンプを作製した.このスタンプにポリスチレン(PS)膜をスピンコートし,さらに転写薄膜となるAuを蒸着した.スタンプと基板を接触させながら,1.7kJ/cm2のUV光を照射すると,PS膜が分解されてAu薄膜は容易に基板へと転写(トランスファプリント)することが可能となった.また,光触媒反応の主要条件である酸素(O2)濃度は,通常の大気環境でもトランスファプリント援用に適した光触媒効果が得られることを見出した.次に,ガラス製のスタンプにTiO2をスパッタ成膜し,上記と同様の実験を行った.その結果,TiO2粒子膜の場合とは異なり,トランスファプリントされるAu薄膜の表面性状を大きく向上させることに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の研究は申請時の研究計画に沿って実施できており,その成果も当初の目的を達成したと言えるに十分なものであった.当該成果について国内学会および国際学会で発表済みであり,複数の学会・研究会より招待講演の要請もあった.また,同成果の一部を学術論文向けにまとめている段階である.以上から,当該研究は概ね順調に進呈していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度の研究計画が概ね順調であったため,次年度も計画通り①「Au薄膜の光触媒援用TPと離型性評価」と②「酸化グラフェン(GO)ナノ粒子の成膜」の2項目を主体として進める予定である.①では,Au薄膜を対象として光触媒援用トランスファプリントを実証する.離型力測定システムを構築し,各種条件(スタンプ形状,UV照射量,O2濃度,Au表面性状)が離型力と転写結果に及ぼす影響を調査することで,提案手法の有効性を明らかにする.②では,電気泳動・誘電泳動堆積法でGOナノ粒子をスタンプへ成膜する.デジタル顕微鏡によるIn-situ観察とSEMやAFMによる表面分析を併用し,所望の膜厚や密度となる成膜条件(電圧,GO濃度,電極形状など)の最適化を行う.また,本研究をさらに推進するため,関連分野の研究者を集めた研究会を開催し,その成果や今後の展開について討議を行う予定である.
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Research Products
(14 results)