2019 Fiscal Year Annual Research Report
光学材料の超精密研削におけるクラック抑制サーボ制御手法の開発
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18H01353
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
柿沼 康弘 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (70407146)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | プロセス監視 / プロセス制御 / 超精密加工 / 研削 / クラック抑制 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,光学レンズの超精密研削加工におけるクラック抑制サーボ制御手法を開発することを最終目的としている.昨年度は,光学レンズの加工時にクラックが発生した場合に,各駆動軸のサーボ情報がどのように変化するかを明らかにした.本年度は,始めにAEセンサをワーク主軸に設置し,クラック発生時のセンサ信号の変化を解析した.その結果,微小なクラックが発生した場合でも,特定の周波数数帯域のAEセンサ信号が変化することを確認できた.そこで,プログラマブルフィルタを導入して,この帯域の信号のみを抽出して常時監視するシステムを構築した.この結果に基づき,本研究で提案するサーボ情報とセンサ情報を統合して加工負荷を広帯域に推定するセンサ援用外乱オブザーバの開発にも着手した. 次に,クラック抑制サーボ制御を行うために,AEセンサとサーボ情報の信号に基づき,超精密加工機の動作を変更するシステムの開発に着手した.当初計画したゲインスケジューリングにより加工動作を変更する方法は工具軌跡の変化が大きく,超精密研削では適用が非常に難しいことがわかった.そこで,工具主軸をマスター,送り軸とワーク主軸をスレーブとして,マスター側の負荷に応じてスレーブ側のオーバライドを変更する制御系とする方針を固め,制御システムをおおよそ構築した. 以上より,本研究は当初の計画通り,順調に進んでいる.また,上記成果は,国際学術誌1編,国際学会1件,国内学会2件で発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請当初に計画した実施項目をすべて遂行し,着実に研究成果をあげていることから,おおむね順調に進展していると言える.また,生産工学分野で世界的に著名な研究者が集う国際会議や国際学術誌に論文が採択されたことからも順調と判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画は順調に進んでおり,引き続き計画変更せずに進める.令和2年度は,センサ援用外乱オブザーバのより一層の改善を図り,クラック抑制制御システムの構築と加工試験による評価を実施する計画である.
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