2018 Fiscal Year Annual Research Report
Single-shot 3D nano surface profilometry by using wide field laser scanning interferometer
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18H01360
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
新田 勇 新潟大学, 自然科学系, 教授 (30159082)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Laser interferometry / Wide field of view / Sawtooth / Single shot / Metal coated reference |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの自身の基礎研究を利用し,広視野レーザ走査干渉計を作り上げ,従来技術に比べて約400倍広い視野空間のナノ精度3次元形状計測を可能とした.通常の干渉計測では位相の異なる4枚の干渉縞画像が必要となるが,このような位相シフト法は,広視野計測を主眼とする本手法にとっては,時間がかかり過ぎ不向きである.近年,位相シフト法によらず1枚の画像から形状を決定するワンショット画像計測法がいくつか試みられている.申請者は参照板に金属薄膜を成膜することで,1枚の画像からでも形状が決定できる新規のワンショット手法を発見した.そこで,広視野領域に対しても1枚の画像取得のみで全体形状をナノ精度で決定できる,世界初の新規ワンショット形状計測手法を確立し,形状計測システムとして纏め上げることを本研究の目的とする. 計測のキーとなるノコギリ波状輝度分布を持つ干渉縞発生の詳細を詰めるため,観察対象面と参照板のすきまの影響と,これまでに調べた金属以外の新たな観察対象物(シリコンウエハ,ポリエチレンテレフタレート,ポリカーボネート,アクリルの4種類)の影響を調べた.その結果,観察対象面にはある程度の反射率を有していればそれ以外は特に制限がないことが明らかになった.これは本手法の汎用性を示す重要な研究結果である.また,干渉縞ノコギリ波が左右のどちらに偏るかは計測上重要であるので,様々な種類の薄膜に対応したマップを新たに作成した.これにより,薄膜材料を決めると,干渉縞ノコギリ波が左右のどちらに偏るかを簡便に見積もることができる. 干渉縞画像から3次元高さデータに変換するソフトウェアもプロトタイプを開発することができた.これにより,ワンショット広視野レーザ干渉計測技術がより完成に近づいた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの自身の基礎研究を利用し,広視野レーザ走査干渉計を作り上げ,従来技術に比べて約400倍広い視野空間のナノ精度3次元形状計測を可能とした.通常の干渉計測では位相の異なる4枚の干渉縞画像が必要となるが,このような位相シフト法は,広視野計測を主眼とする本手法にとっては,時間がかかり過ぎ不向きである. 近年,位相シフト法によらず1枚の画像から形状を決定するワンショット画像計測法がいくつか試みられている.参照板に金属薄膜を成膜することで,1枚の画像からでも形状が決定できる新規のワンショット手法を発見した.そこで,広視野領域に対しても1枚の画像取得のみで全体形状をナノ精度で決定できる,世界初の新規ワンショット形状計測手法を確立し,形状計測システムとして纏め上げることを本研究の目的とする. レーザ干渉縞からの位相像の抽出や形状への変換などのため,画像の2値化,縞の細線化,縞間の内挿関数の決定を行うソフトウェアを開発した.これに加えて,ノコギリ波状干渉縞の輝度分布からダイレクトに表面高さに効率よく高精度に変換できるソフトウェアを新規に開発した.また,Feに特化して種々膜厚を変化させ,成膜の再現性を調べ,予測通りの反射光輝度分布となることを確認した.また,膜厚が極端に薄い場合にはノコギリ波状輝度分布は理論解析と異なる場合があることを実験的に突き止めた. 以上のように,ほぼ研究計画通りに進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度は,計測のキーとなるノコギリ波状輝度分布を持つ干渉縞発生の詳細を詰めるため,観察対象面と参照板のすきまの影響と,これまでに調べた金属以外の新たな観察対象物の影響を調べた.その結果,観察対象面にはある程度の反射率を有していればそれ以外は特に制限がないことが明らかになった.また,干渉縞画像から3次元高さデータに変換するソフトウェアもプロトタイプを開発することができた.そこで,本年度は次の点について研究を継続することにする. ①高変換効率ソフトウェアの開発(続き):レーザ干渉縞からの位相像の抽出や形状への変換などのため,画像を取り扱うソフトウェアは,可読性の高いDelphi言語で開発してきた.これまで開発したソフトウェアの内容は,画像の2値化,縞の細線化,縞間の内挿関数の決定などであった.昨年度は,これに加えて,ノコギリ波状干渉縞の輝度分布からダイレクトに表面高さに効率よく高精度に変換できるソフトウェアを新規に開発した.しかし,高さへの変換効率が悪い部分もみられる.そこで,引き続きその点を改善する方法を考案し,プログラムに実装することとする. ②ECRスパッタ装置による参照板への成膜とその再現性の確認(続き):これまで,成膜材料としてAu, Cu, Ni, Fe, Cr, Tiなどの純金属を用いてきたが,その膜厚の再現性を詳細に調べる時間的余裕がなかった.昨年度は,Feに特化して種々膜厚を変化させ,成膜の再現性を調べた.膜厚が極端に薄い場合のノコギリ波状輝度分布は理論解析と異なる場合が想定されたので,そのことを綿密に調べた.原子間力顕微鏡(AFM)による膜厚計測や,分光光度計による反射・透過率から膜厚のモニタリングを行ったが,まだ十分に膜厚測定ができていないので,他の膜厚測定方法を試すことにする.
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