2018 Fiscal Year Annual Research Report
Negative viscosity induced by electroconvection in a nematic liquid crystal
Project/Area Number |
18H01374
|
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
長屋 智之 大分大学, 理工学部, 教授 (00228058)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩下 拓哉 大分大学, 理工学部, 准教授 (30789508)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 液晶 / レオロジー / 散逸構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
連携研究者の折原との協力により,電場下の液晶に負の粘性が発現することを論文にまとめたものが,Physical Review E誌に掲載された。これが本年度の最も大きな成果であった。負の粘性の発見という実験事実は多くの研究者に興味を持って頂くことができ,それが2つの研究会で招待講演につながった。 本年度の主な研究計画は,液晶の電場下での粘性測定と液晶の組織観測を同時に行える実験系の構築であった。市販のレオメーターを購入し,試料に電場を印加できるようにセンサー部分を改造し,更に,電場印加のタイミングの制御とレオメーターの制御ソフトを連動できる独自のソフトを作成する計画であった。しかし,レオメーターが高額のため競争入札を行う必要があったこと,詳細な仕様の策定に時間を要したこと,選定された機種が外国製品であったことの理由により納入されたのは2018年12月末になり,予定していた実験系の構築が年度内に完了できなかった。電場印加と組織観察の改造方法については目処が立ったが,電場の制御ソフトはまだ基本設計ができていないので次年度の課題になった。装置が納入されるまでの間,円形平行平板ガラスの両面に酸化インジウム透明電極(ITO)を真空スパッタリングで成膜し,実験の必需品であるレオメーターのセンサーの特別なガラスの作成方法を確立した。 分担者の岩下は液晶に光が入射した時に試料内をどの様に光が伝播するかを計算するソフトウエア開発を行った。液晶配向が比較的に単純な場合に関して伝播を計算できるようになったが,配向が複雑な場合にはまだ対応していないため,次年度の課題になった。 折原らは新たにEBBAという液晶でも負の粘性が発現することを明らかにした。この実験により試料の誘電異方性を精密に測定することが必要になったため,計画には無かったが液晶専用の磁場下での誘電異方性測定システムの作成を始めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年度の主要な計画は実験系の構築であったが,購入した粘度計が高額であったため,仕様の策定,競争入札手続きに時間を要し,さらに外国製品であったために納期に時間がかかり,納品されたのが12月末であった。その後に顕微鏡を組み込む等の改造を始めたが,電場印加連動ソフトを含めて年度内に予定の改造ができなかった。その為,やや遅れていると判断した。ただし,折原との連携研究によって,EBBA液晶でも負の粘性が発言することおを発見し,想定外の良い成果を得ることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
先ずは,前年度に完了しなかった実験系の構築を行う。また,前年度に連携研究者の協力で行った実験で,EBBAという液晶で特異な負の粘性の発現を確認し,その現象を考察するには液晶の誘電異方性を精密に測定する必要があると判明したため,当初計画で予定していなかった誘電異方性測定システムを構築する。その後,当初予定していたMBBA液晶とEBBA液晶の負の粘性の研究を行う。
|
Remarks |
科研費の研究成果を高校生につたえるアウトリーチ活動 ひらめき☆ときめきサイエンス の報告webページ
|