2019 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluation of Convective Heat Transfer for Discontinuous Fluids Using Deterministic and Stochastic Theory Based Space Connection Model
Project/Area Number |
18H01381
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
巽 和也 京都大学, 工学研究科, 准教授 (90372854)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 2次元サーモリフレクタンス法 / ナノワイヤ / 熱伝導 / 粒子制御 / ワイブル分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和1年(平成31年)度は,平成30年度に開発した2次元サーモリフレクタンス法を用いたナノスケールの温度計測機器を用いてAgナノワイヤ(線径100nm,長さ100micro-m)を無作為に散布したナノワイヤ群に通電したときのナノワイヤ1本および群の温度分布の測定に成功した.これに関して,平成30年度に納品の遅れが生じた焦点制御装置を導入することで試料の熱膨張に対する焦点位置の補正が可能なり,撮影枚数を増大できることで100nmの空間分解能で温度分布の測定が可能となった.これを用いて10micro-m幅のAu電極の2次元非定常温度分布の測定に成功した.さらにAgナノワイヤをジメチルポリシロキサン(PDMS)に散布・接着させた伸縮可能な加熱シートの試料を国際研究協力者であるソウル大学のProf. Seung Hwan Koから提供してもらい,伸縮度によるナノワイヤの密度・電流・温度の各分布への影響を測定し,その確率密度分布はWeibull分布により評価できる可能性を示した. また,マイクロ流路の不連続性液体に関する流れと伝熱を制御するために,誘電泳動力により時間と空間に亘る周期的な力を作用することで流路内のマイクロ・ナノ粒子を整列できるマイクロデバイスを開発した.このデバイスを用いることで異なる粒径の粒子を同時に整列できることも実証し,さらに摂動論を用いて整列原理を証明した.これに加えて,マイクロ流路の壁面をマイクロスケールで局所加熱することにより生成される気泡と2次流れについて3次元数値解析を行い,循環流の生成と流れによる粒子輸送と捕獲の特性を明らかにした.これらは令和1年度(2019年)に2件の国際投稿論文として発表し,2つの国際会議と1つの国内会議にて招待講演を行っている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度に納期が遅れた自動焦点装置を組み込むことで2次元サーモリフレクタンス(TRI)法の計測装置を完成することができた.この装置は100nmの空間分解能と1micro-sの時間分解能で物体表面の温度分布を測定することができる.納期遅れにより繰り越しした予算も用いて国際連携と試料準備を進め,Agナノワイヤをガラス基板に散布したナノワイヤ群に通電したときの温度分布をTRI装置を用いて測定し,電流と伝熱経路の特性を評価した.さらにIRカメラによるサーモグラフィの温度計測によりマイクロワイヤを散布した試料についても同様の温度測定を行った.これらの温度の確率統計分布に対して確率統計関数であるWeibull関数を回帰することでWeibull係数と尺度係数を求め,分布の非一様性(不均一性)と連結性の評価が行えることを示した.また,ソウル大学のProf. Koが作成したAgナノワイヤをPDMSに散布・接着した伸縮性を有するナノワイヤ群では,試料のひずみによりナノワイヤの連結性と温度分布が変化すること,その特性をWeibull分布で評価できることを示した.さらに,マイクロ流路における不連続性流体流れの制御として,平成30年度に引き続き誘電泳動力を用いた粒子整列技術の開発と改良を行い,マイクロ・ナノ粒子の整列について性能評価と原理の理論的な証明を行った.このほか,マイクロ流路内の局所加熱による気泡と2次に流れの生成および粒子の捕獲に関する現象と技術の評価を3次元数値解析と共同研究に基づく実験を用いて行った. 一方,COVID-19(新型コロナウィルス)の感染拡大により,3月に予定していた国際会議での発表および国際研究協力者であるPurdue大学のAlam教授への訪問が延期することとなった.これにより試料作製と旅費に関する予算は繰越を申請した.
|
Strategy for Future Research Activity |
TRI装置の基本構成が完成したことにより,Agナノワイヤ群の通電発熱と伝熱特性の評価を引き続き行い,これに加えてマイクロ流路の壁面熱伝達率の測定を開始する.また, Agナノワイヤ1本およびナノワイヤ同士の接触熱抵抗を評価するため,micro-sの時間周期を有する非定常法により,ナノワイヤ1本単位で伝熱特性を評価する.さらに,測定対象の資料も改良して熱伝導・熱伝達特性の測定精度を高めるため,発熱・伝熱現象を制御できるMEMSデバイスの開発も研究協力者と連携して行う.これは,高精度なマイクロ・ナノ加工技術を活かして放熱や応力等の外乱の影響を減らした機構を設計し,TRI装置を用いてナノ・マイクロスケールのビーム(梁),ワイヤ,ネットワーク網の伝熱特性の測定と制御に挑戦するほか,異なる材料に関する温度・伝熱特性の計測を行うものである. また,不連続流体の熱伝導と対流伝熱特性を測定するために,引き続き,開発したマイクロ流路内の粒子の運動制御技術を改良して,壁面通電加熱とTRI計測装置の光パルスのタイミングを同期することで50-100nmと100nsの空間・時間分解能での壁面熱伝達率を測定できるマイクロデバイスの開発を行う.これに加えて,Weibull分布とパーコレーション理論の適用に加えて,新たに統計分布と“ゆらぎ”の確率論を用いた確率密度分布と伝熱経路に関するモデル開発を進め,これを不連続性の概念(ネットワーク構造体)に適用することで,数理モデルと伝熱特性のモデル開発を行う.
|
Research Products
(12 results)