2019 Fiscal Year Annual Research Report
制御ー計測ー情報の高度融合による組織形成場におけるダイナミクス解析
Project/Area Number |
18H01413
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
萩原 将也 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 理研白眉研究チームリーダー (00705056)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 細胞行動 / 集団形成 / 初期形状制御 / 特徴量抽出 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来直接計測が困難であった細胞行動および集団形成に影響を及ぼす場に働くダイナミク スを,制御・計測・情報技術を高度に融合することにより解析することを目的とする.実験で得られた計測値の数理モデルへの取り込みにより,直接計測可能な物理量データ(細胞行動,集団形状)から組織形成に関わる環境因子(場に働くダイナミクス)の解析手法を確立することで,生体組織形成において細胞が従っている根底のルールを解明することを目指した,工学のみならず生命科学の分野にとって非常に重要な研究である. 当該年度においては,2次元に初期制御した気管支上皮細胞集団の膨大な行動データを,特徴量抽出を行うことにより,定量化を行った.各細胞の行動データを経時的に見たときに,顕著な特徴が表れている(例:すべての細胞が集団の中心から離れ外向きに移動など)時間を区切り,各区間において特徴量を設定することにより,見た目の特徴を定量的に表した.これにより,仮説した数理モデルを用いたシミュレーション結果との比較を定量的に行うことができ,シミュレーション結果がどの程度実験結果と似ているか類似度を算出することでシミュレーションの確からしさを検証することができるようになった.数理モデルとしては,細胞間に係る力学的な相互作用のほかに,化学走性・細胞外基質―細胞間にかかる物理作用,細胞極性を加味した数理モデルを構築し,シミュレーションの構築を達成した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までに得られた気管支上皮細胞集団の行動データを、本年度では細胞行動の特徴に応じて特徴量抽出を行い、定量化することができた。これにより、仮説したモデルによるシミュレーションがどの程度細胞行動を表せているのか、定量的に評価することができるようになり、本研究課題で構築しようとしているプラットフォームの重要な項目がクリアできた。また、細胞―基質間相互作用についてはこれまで細胞行動・集団形成と基質との関係性が不明瞭であったが、光ピンセットと微細化技術を用いて基質が細胞の行動に大きく寄与していることを明らかにした。数理モデルについても、細胞極性・細胞間力学相互作用、化学走性、細胞―基質間相互作用を加味したモデルを構築し、シミュレーションを達成済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに実験とシミュレーションがどの程度似ているか定量化する手法を確立できたので、次のステップとしてはシミュレーション内に含まれるパラメータの最適化を行う。初期条件として、複数の形状に制御した実験データをそれぞれの特徴量で定量化を行い、シミュレーションと繰り返し比較することにより、仮説したモデルの検証と同時にパラメータの最適化が可能となる。最適化手法としては、遺伝アルゴリズムを用いて、多数のパラメータ群の最適値を現実的な計算時間で探索することがを目指す。これにより、従来を飛躍的に凌駕する制度でのシミュレーショが達成可能となり、目標の間接的な場の計測を達成を目指す。
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Research Products
(3 results)