2018 Fiscal Year Annual Research Report
パルス放電による気体分子の急速加熱過程を利用した気流制御技術の開発
Project/Area Number |
18H01417
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小室 淳史 東北大学, 工学研究科, 助教 (70733137)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 大気圧プラズマ / パルス放電 / 気流制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度はまず本研究で用いるパルス電源の作成と、実験における計測系の構築を行った。パルス電源の作成では磁気パルス圧縮技術を用いてパルス幅を制御し、実験に必要な電圧波形を生成した。また計測に影響を与えないようにノイズ対策にも注意を払った。計測系としては主に圧力計測系統を構築した。本研究予算で購入した多点圧力スキャナを風洞実験で用いるためのプログラムを構築し、また、基準圧力計を用いて圧力計測機の構成を行った。次に実験として、静止気体中での表面バリア放電の放電特性計測と、Background-Oriented-Schlieren法(BOS法)を用いた気体密度変化の可視化を行った。電源としては本研究で提案するパルス電源と、従来使われてきた高電圧交流電源の2つを用い、それぞれの特性の違いを比較した。放電特性計測ではICCDカメラと光電子増倍管を用いて放電発光の時空間変化を観察した。高電圧交流電源を用いた場合は電極近傍で間欠的な放電発光が観測されたが、パルス放電を用いた場合は誘電体上に沿って伸びるフィラメント状の放電発光が観測され、またその放電発光が比較的長い時間維持されていることがわかり、電源の違いにより放電発光の時空間変化に違いが出ることが分かった。またBOS法を用いた気体密度の可視化実験においては、交流高電圧を用いて誘起流を発生させたときの誘起流中のガス密度変化を可視化した。その結果、1 sほどの電源駆動で誘電体直上の密度が大気圧の0.98倍ほどに減少していることがわかった。温度に換算するとおよそ6 Kほど上昇していることになる。これまでの研究においては誘起流中の温度や密度の絶対値計測は行われていなかった。本年度で構築した計測手法を、次年度以降はパルス放電に適用し、パルス放電とガス密度変化の関係を明らかにしていく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に計画していた電源系と計測系の構築は問題なく実行することが出来、次年度以降の実験環境を整えることが出来ている。また実験においては静止気体中における放電発光観測と密度変化計測を行うことが出来、次年度以降に行う風洞実験に向けての基礎特性計測を行うことが出来た。加えて、密度変化計測ではこれまで行われてこなかった誘起流中の絶対密度計測を行うことが出来た。これらの理由から、本研究はおおむね計画通りに進行しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、2018年度で得られた基礎実験データをもとに、風洞実験をメインに行う。東北大学流体科学研究所が保有する小型低乱流熱伝達風洞を用いて、翼型周りの剥離制御実験を行う。3Dプリンタで翼型模型を作製し、翼の前縁に電極を張り付けパルス放電を発生させる。気流速度は40m/s程度に設定し、パルス放電の有無によって翼にかかる力の変化を計測し、また同時にParticle Image Velocimetry (PIV)法を用いた流れ場計測を行う。特に、前縁近傍のせん断層周りの流れ場の変化に着目し、パルス放電と、力、流れ場がどのように相互作用するかを検証する。さらに、せん断層周りの流れ場に関してはシュリーレン法による可視化も行い、流れ場中の密度勾配の情報を取得する。シュリーレン法の光学系の調整と評価を繰り返すことにより、密度勾配から絶対密度の算出を試みる。そして、PIVで得られた流れ場中の速度情報と、シュリーレン法により得られた流れ場中の密度情報から、流れ場中の温度情報の算出を試みる。パルス放電のパラメータ(電圧、周波数、立ち上がり速度など)を様々に変えながら計測を繰り返し、流れ場中の密度や温度といった基礎物理量がどのように変化するかについて詳細に計測を行う。
|
Research Products
(19 results)
-
-
-
[Journal Article] DBDPA 用磁気圧縮パルス電源の開発と動的失速流れ制御への応用2019
Author(s)
鈴木健人, 小室淳史, 菅野将輝, 小池一未, 南海昂輝, 高島圭介, 安田英将, 越智章生, 葉山賢司, 辻内智郁, 中北和之, 満尾和徳, 野々村拓, 金子俊郎, 安藤晃, 浅井圭介
-
Journal Title
静電気学会誌
Volume: 43
Pages: 43
Peer Reviewed / Open Access
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] DBD-PA 用磁気圧縮パルス電源の開発と動的失速流れ制御への応用2018
Author(s)
鈴木健人, 小室淳史, 菅野将輝, 小池一未, 南海昂輝, 高島圭介, 安田英将, 越智章生, 葉山賢司, 辻内智郁, 中北和之, 満尾和徳, 野々村拓, 金子俊郎, 安藤晃, 浅井圭介
Organizer
第42回静電気学会全国大会
-
-
-
-
-
-