2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of active flow control technique using a rapid gas heating process induced by a pulsed discharge
Project/Area Number |
18H01417
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小室 淳史 東北大学, 工学研究科, 助教 (70733137)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 気流制御 / パルス放電 / 大気圧プラズマ / 風洞実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は風洞実験をメインにし、東北大学流体科学研究所が保有する小型低乱流熱伝達風洞を用いて、パルス放電を用いた翼型周りの剥離制御実験を行った。3Dプリンタで制作した翼型模型を用い、翼の前縁にプラズマアクチュエータ用の電極を張り付けパルス放電を発生させた。計測項目としては翼面上静圧、力、シュリーレン法による密度勾配の可視化、PIV法による速度場、熱線流速計による速度変動計測とした。シュリーレン法により, パルス放電を発生させることに応じて前縁近傍の剥離せん断層に密度擾乱が発生し、後方に流れ下るに従った擾乱が大きく成長しせん断層に大きな乱れを生じさせている様子が観測された。またこの密度擾乱の成長様相は印加するパルス放電のエネルギーを変えることによって変化することが分かった。また同時に行ったPIV法により、パルス放電で生成した密度擾乱が渦と対応していることが分かった。さらに、力計測により、パルス放電によって発生した渦と揚力、抗力の変化に相関関係があることが分かった。これらの一連の計測により、パルス放電が剥離線断層中に密度擾乱を与え、擾乱が成長していく過程で渦を発生させ、渦が後方に流れ下る過程において翼型にかかる揚力、抗力が変化するという物理描像が明らかになってきた。またパルス放電の放電エネルギーと揚力、抗力の変化を関連付けることにより、パルス放電を用いた気流制御技術において放電エネルギーを制御パラメータとして使用できる可能性があることがわかった。放電エネルギーと気流中に発生する密度擾乱の関係を明らかにすることで放電エネルギーの入力に対する気流制御効果の推定が出来るようになる可能性がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目に計画していた風洞実験はすべて計画通りに遂行することが出来た。熱線流速計を用いた計測など本来予定はしていなかったが、風洞実験で想定していたトラブルが少なかったこともあり実行することが出来た。結果として、本年度は実験データを大量に取得することに成功した。一方でデータ整理が追い付いていない状況にあるため、3年目には風洞実験で得られたデータの整理と、様々な物理量に対する包括的な考察を計画的に行っていく必要がある。これらの理由から、本研究はおおむね計画通りに進行しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、これまでの風洞実験で得られたデータの評価・解析と、静止気流中における放電実験を行うことでパルス放電におけるガス加熱過程の基礎実験を行う。この2年間で得られた風洞実験のデータには翼面上静圧、力、シュリーレン法による密度勾配の可視化、PIV法による速度場、熱線流速計による速度変動情報があり、これらを包括的に解析することにより気流中にガス密度変化を入力することによって生じる流れの揺動の成長過程を明らかにする。ガス加熱過程の基礎実験においては、放電によって生じるガス密度変化を定量的に計測する手法としてマッハツェンダー干渉計測を行う。マッハツェンダー干渉計測はかなりの高感度で密度を定量的に計測できるため、単発のパルス放電で発生するガス密度変化を精度よく可視化できると考えられる。この計測で得られた密度変化量と、風洞実験で得られた気流制御効果とを関係づけることにより、気流制御に必要な密度変化量の定量化を狙う。
|
Research Products
(20 results)