2018 Fiscal Year Annual Research Report
多層基板を用いたロットマンレンズ広帯域2次元マルチビームアレーアンテナの開発
Project/Area Number |
18H01440
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
榊原 久二男 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50359759)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アンテナ / 導波管 / 高周波基板 / 多層基板 / マルチビーム / ビーム切替 / ロットマンレンズ / 基板内導波管 |
Outline of Annual Research Achievements |
多層基板を用いて,広帯域2次元マルチビームロットマンレンズアレーアンテナを実現するには,2次元ロットマンレンズと,多層基板の背面から各層に導波管から給電する中空導波管・基板内導波管変換器と,放射スロット素子を,いずれも広帯域に設計する必要がある. これらを設計する上で,まず,高周波基板積層技術が重要な要素の一つであり,その構造パラメータに合わせて設計する必要があるため,高周波基板メーカおよび高周波基板加工メーカと,製造上の加工限界について協議した.その結果,比誘電率2.5で厚さ1mmの高周波基板を5枚積層し,それらを厚さ50umのボンディングフィルムで貼り合わせる構成とすることとした. さらに,当初の予定では,ポスト壁導波路を伝送線路として用いることを考えていたが,5層全部で5mmもの厚い基板にスルーホールを設けるためには,スルーホール径を極端に大きくしなければならなくなると同時に,そのピッチも大きくなり,隣接スルーホール間から漏れる電磁波の電力が大きくなってしまう問題があることが分かった.そこで,スルーホール配列ではなく,ルータで連続的に切断し,その切断面をメッキして導波管狭壁面を形成することとした. 以上の通り,高周波基板メーカおよび高周波基板加工メーカと詳細に協議することで,製造可能な多層基板の選定および製造上の制約条件が決定できたので,設計するための準備が整った.その上で,2次元ロットマンレンズ,背面から給電する中空導波管・基板内導波管変換器,放射スロットからなる3つの構成要素について,一次設計した.まだ周波数帯域幅の広帯域化が必要であるものの,特定の周波数では,いずれも所望の動作をすることを電磁界解析により確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基板メーカと密に連絡を取り,高周波基板の選定とその積層構造および加工方法を詳細に確認しながら多層基板構成を決定したため,設計ができさえすればすぐにでも試作・評価の段階に,開発を進めるための準備が整っている. さらに,当初の予定では,2次元ロットマンレンズ,中空導波管・基板内導波管変換器,放射スロットのうち,主構成要素である2次元ロットマンレンズの設計を先行して進める計画であったが,最終形態であるアレーとしての放射特性が,放射スロットの特性に密接に依存していることが分かったため,放射スロットの設計も同時に進めている.また,給電回路として用いる中空導波管・基板内導波管変換器も並行して進めた結果,3つの構成要素すべてについて,順調に設計が進むことになった.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,これまでに高周波基板メーカおよび高周波基板加工メーカと密に連絡を取って詳細に調べた実際の製造上の制約条件の下で,電磁界解析により設計を進めるとともに広帯域化する.設計が完了したら試作し,その特性を実験により評価することにより,提案構造の有効性を検証する.
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Research Products
(4 results)