2020 Fiscal Year Annual Research Report
超大容量・空間分割多重光パス網を実現するための空間光スイッチング基盤技術の研究
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18H01443
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
神野 正彦 香川大学, 創造工学部, 教授 (10503550)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 光ネットワーク / 光スイッチ / 空間分割多重 |
Outline of Annual Research Achievements |
通信トラフィックが年率30~50%で増加する中,長距離用光通信装置に必要なインタフェース速度は2024年には10 Tb/sに達すると予想される。これは、現状の長距 離用光ファイバの総伝送容量に迫りつつある。光ファイバ通信インフラを持続的に発展させるため、超大容量化とビット当たりの転送コスト削減を両立しうる新技術の開拓が求められている。我々はその解として、空間エクスプレス 光パスに基づく新しい空間チャネルネットワーク(SCN)とそれを実現するための独自のコア選択スイッチのアイデアを着想した。本研究では、コア選択スイッチの各種構成法を検討し、それを用いた光ノードの機能・性能・コストを定量評価するとともに、コア選択スイッチを設計・試作し、有効性を検証することを目的としている。 2020年度は、2019年度に試作したコア選択スイッチ試作1号機で問題となった挿入損失と偏波依存損失の出力ポート間ばらつきを解決するための2次試作の光学設計に基づき、コリメータアレイ光学系を作製するとともに、MEMSミラー2次元アレイを作製し、これらを用いてコア選択スイッチ試作2号機、3号機を構築して、性能を評価した。その結果、SバンドからCバンド、Lバンドにわたる非常に広い波長域で、挿入損失2.5 dB以下、偏波依存挿入損失0.3dB以下という極めて良好な結果を得た。この成果は、光通信分野の最高峰の国際会議OFC 2021にて採択された。また、コア選択スイッチの基本的な設計論をまとめてIEEE JLTに投稿 した論文は無事採択された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
スイッチング素子をLCoS(Liquid Crystal on Silicon)空間光変調器から、MEMS(Micro Electro-Mechanical Systems)2次元ミラーアレイに変更したことで、当初期待した偏波依存性損失の低減効果以外に、今後、拡張が求められる短波長域、長波長域における挿入損失も著しく低減可能であることを見出し、これを本研究分野で最も権威ある国際会議Optical Fiber Communications (OFC) 2021に投稿、Top Scored Paperとして採択され、本研究分野で最も権威ある研究論文誌Journal of Lightwave TechnologiesのOFC 特集号への投稿を招待された(招待論文)ことから、当初の計画以上に進展していると自己評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
SCN用光スイッチとして,独自構成のコア選択光スイッチ(CSS)の4次試作の設計を行うとともに、その評価を実施する。具体的には、4コアMC Fを3本束ねたものを入出力ポートとし、コア数を3倍に拡大することを目的に、コリメータアレイを試作する。コリメータアレイは、シリコン基板上に3つの穴を近接配置して作成し、これにMCFを挿入するとともに、マイクロレンズアレイをアライメント固定することで作成する。また、同様のコア数拡大を目的として19コアMCFを用いたCSSの設計と試作にも取り組む。これらのコリメータアレイを組み込んだ空間光学性ならびにMEMSミラーアレイからなるCSS試作機の静特性を測定するとともに、ディジタル光信号を入力してビット誤り率を評価する。
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