2020 Fiscal Year Annual Research Report
Midair Flow Control with High Spatiotemporal Resolution based on Ultrasound-Driven Streaming
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18H01458
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長谷川 圭介 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 講師 (20733108)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 音響流 / 流れ場設計 / 逆問題 / 音響ホログラフィ |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、収束超音波場による体積力場によって所望の流れ場を生成することを目標として研究を行った。これまでの研究では所望の流れ場は対象領域全体にわたってあらかじめ定義されているものとして問題を解いてきたが、実際の応用の場面では必ずしもこの過程は成立せず、むしろ流れ場に求める物理的性質は部分的、限定的であることが多いことに着目し、今年度は特に「実現すべき流れ場の設計」という指針で研究をおこなった。物理的に実現可能な流れを場の境界条件や実現したい応用によって定まる流れに対する部分的な制約条件を満たすうち特定の基準で最適となるものを求める逆問題として解くことで得る、という方略により、空間中の一部の流線を達成し、かつその他の領域においては不必要な流れをなるべく発生させないストークス流れ場の設計ができることを明らかにした。この成果を確認すべく数値シミュレーションを行い、対応する体積力場を与えることで所望の定常流れ場を得られることを確認した。 これに加え、所望の体積力場を実現するための超音波フェーズドアレーの最適な駆動法について、実際に生成される音圧振幅の絶対値の場について適切な正則化のもとで音響パワー二乗誤差最小化問題として連続最適化を用いて解くことによりこれを求め、音響ホログラフィの設計法の一つとして学術論文として発表した。この成果は上述の設計した流れ場を実現するための体積力場設計法として有用である他、単一のマイクロフォンによる自己定位などの新たな応用への発展が期待できるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述のようにフェーズドアレーによる音響流の数値シミュレーションが可能になったこと、これまで問題とされてこなかった「流れ場の部分情報による設計」という新たな側面による研究の発展、音響ホログラフィの連続最適化による設計法の確立の3点が主な進捗であり、いずれも研究上本質的な成果であると考える。一方で、実環境において所望の流れを達成するという当初の目標にはいまだ到達しておらず、この原因は下記推進方策のように比較的速い流れ場の設計問題に対してはこれまでの研究成果は必ずしも有効ではないことが挙げられる。以上を総合的にかんがみ、研究の進捗状況は上記区分とした。
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Strategy for Future Research Activity |
数値シミュレーションにより超音波による体積力場とそれによって発生する流れ場を関連付けて取り扱うことが今年度初めて可能となった。その過程でストークス近似が成立する範囲では流れ場から計算した体積力場を入力とすることで所望の流れ場が構成されること、および移流項の存在下では定常の流れ場が安定的に解として求まらず、また求まった場合も所望の流れ場とは異なる場合が多いことが分かった。実際の流れ場において移流項を無視できるほど遅い、という状況は限定的であることから、移流項の存在を仮定しても適切な体積力場を求め、これにより所望の流れ場を実現することを目標とし、これに対しては「移流項の影響がなるべく小さくなるような流れ場を設計する」「定常の流れ場が得られるとして解を求めるのではなく、もう少し大きな時間スケールによる定常性を加味した流れ場の取り扱いを行う」という方略での解決を考えている。
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