2019 Fiscal Year Annual Research Report
確率可制御性縮約による機械学習援用制御手法の可解釈性獲得
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18H01461
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加嶋 健司 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (60401551)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻野 博文 大阪大学, 薬学研究科, 助教 (10707144)
山下 沢 武庫川女子大学, 薬学部, 准教授 (70398246)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 制御工学 / 機械学習 / 情報通信工学 / 薬学 / 確率 |
Outline of Annual Research Achievements |
基盤となる理論研究に関しては、ネットワーク化制御系設計特有の数理問題に機械学習援用手法を用いる課題に取り組んだ。具体的には、1.前年度までに構築したスパース最適制御理論の凸緩和可能性に関する結果を確率システムの場合に拡張した。2.ネットワーク制御系に特化した差分プライバシー解析をおこなった。特に、標準的に用いられるラプラス分布雑音と同じ効果をもつ裾の厚い時系列雑音として、安定過程を採用することで系統的な解析・設計が可能となることを示し、プライバシー保護が制御性能に与える影響の定量化手法を開発した。3.ガウス過程回帰状態空間モデルに対して、可制御性関数の概念を導入し、モデルのスパース化の可解釈性向上のための理論基盤を築いた。これらの結果は、いずれも査読付き国際会議にすでに採録が決定しており、次年度発表予定である。また、機械学習分野で目覚ましい進歩があるにも関わらず、制御分野でほぼ用いられていない生成モデルの概念を用いた新しいシステム同定手法を提案し、現在、査読中である。通信ネットワークに関する研究課題では、引き続きネットワークトラフィックルーティングに関する研究結果の発表と、人流ダイナミクスの利活用に関する研究もすすめた。薬学応用に関する研究に関しては、上述の生成モデル同定手法により解析精度の向上をめざしたものの、想定していた結果は得られなかったため、その原因と対策の検討をすすめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画から変更して,昨年度より開始したガウス過程回帰状態空間モデルと生成モデル,強化学習とシステム制御理論との融合研究に関して、すでに順調に結果が得られ始めている。いずれの結果も適用範囲が広いため、これらを手がかりに産業応用等の新しい共同研究の開始も調整中である。一方で、2つの応用研究に関して、通信ネットワークに関する応用課題は順調に進んでいるが、薬物代謝に関するテーマにおいては、想定した成果が得られていない。代謝によって生じるデシプラミンによる阻害影響や、各成分が存在する濃度による代謝への影響をはじめとするいくつかの要因を現在検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
理論研究課題においては、代表者が前年度までに同時並行で提案した確率スパース最適制御理論・可制御性解析にもとづくガウス過程状態空間モデルのスパース化・敵対的学習を用いた生成モデル型システム同定・ネットワーク化制御系におけるプライバシーと安定性補償付き強化学習などの手法および理論結果をさらに発展させつつ、体系化を目指す。通信ネットワークに関する応用課題においては、人流ダイナミクスを導入し、ネットワークスライシングを想定した資源割り当て制御問題に取り組む。薬物代謝に関する研究に関しては、前年度の結果の解析し、必要に応じて追加実験をおこなう。本年度は、covid-19の影響により必要とされる諸費が当初より減少することが予定されるため、代謝実験に関する費用を増額する予定である。
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Research Products
(8 results)