2018 Fiscal Year Annual Research Report
計測や通信の品質が保証されない環境下での事象トリガ調整型2自由度制御系
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18H01462
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
杉本 謙二 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (20179154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 泰介 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (10796452)
小蔵 正輝 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (10800732)
橘 拓至 福井大学, 学術研究院工学系部門, 准教授 (20415847)
潮 俊光 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (30184998)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 2自由度制御 / サンプル値制御 / ネットワーク / 適応学習 / 切り替え系 / 線形行列不等式 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は研究の初期段階として、下記のような2つの理論的課題に取り組んだ。 1) フィードフォーワードのオンライン調整による2自由度系設計 2) 計測・通信の信号がランダムに損失する環境下での状態推定と安定化制御 まず1)についてはモデルの不確かさを吸収するために可調整パラメータを含んだフィードフォワードブロックを用意し、誤差信号のみを元にした調整則を開発した。これは研究代表者らが従来から扱ってきた逐次最小二乗法による逆モデルのオンライン構築法とは大きく異なり、閉ループの強正実性を前提に、誤差信号の瞬時値からパラメータを調整するというアルゴリズムで、古典的な適応制御の発想を取り入れたものである。このアプローチを採用したのは、信号の品質が保証されない環境下ではセンサ信号が途切れ途切れとなり、フィルタによって信号を記憶する繰り返し最小二乗法では正しく推定できないためである。そこで過去に他の研究者が提案していた手法を大幅に改良し、一般に多入出力系においても適用可能な手法として完成させ、誤差が0に収束することを証明した。 次に2)については、信号損失の際には直前に受信した値を保持することとし、これがサンプリング周期の変動を引き起こすことに着目して切り替え系として定式化した。まず状態推定について、線形行列不等式によって切り替えゲインを導出し、推定誤差が0に収束することを示した。次にこの推定値を用いた切り替えフィードバックによって安定化制御を達成した。これらはシミュレーションだけでなくドローンを用いたトラッキング制御実験によっても有効性を確かめることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の2つの課題について、それぞれ手法の開発に成功し、その成果を国際会議で発表するだけでなく、国内学術誌にも掲載することができた。特に課題2)については国際会議において学生が発表する際、Young Author Award Finalist(奨励賞最終候補)に選ばれ、惜しくも受賞は逃したものの一定の評価を得ることができた。一方、国際学術誌への掲載には至らなかったので、さらなる努力を続けたい。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に開発した2つの課題について、それぞれ新たな拡張を検討中である。その結果を踏まえ、年度後半には評価実験を開始する予定である。
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Research Products
(7 results)